子どもを事故から守るために監督する

子どもを事故から守るために監督する

 
英国では、8歳未満の他人の子どもを1日2時間以上、報酬を得て自宅で保育する者は、在住のカントリーの関連規制機関に登録を行い、最低限の保育基準を満たす必要があります。
該当の規制機関は、イングランドでは英国教育水準局(Ofsted)の乳幼児局、ウェールズではウェールズ保育・介護および社会福祉監察局(CSSIW)、スコットランドではスコットランド保育・介護規制委員会(Scottish Commission for the Regulation of Care)、北アイルランドでは地域の保健・社会福祉トラスト(Health and Social Services Trust)となっています。
これは、児童法(1989年および2004年)のもとでの法的要件となっています。子どもが保育される環境は安全で安心できるものでなければならず、子どもを保育する者は、事故を防ぎ危険性を減らすために、あらゆる手段を講じなければなりません。

日本では乳幼児(0歳~小学校就学始期)および児童(18歳未満)を保育する施設については、所属する自治体(都道府県知事)への届け出を行うことが児童福祉法(第59条の2)で義務付けられています。

登録チャイルドマインダーとして、保育する子どもの健康と安全の全責任は保育者自身が負うこととなります。この責任を果たすためには、保育環境の室内外で、また外出中に、子どもを監督する方法を理解する必要があります。これは、すべての子どもに絶え間なく目を配り続けるということではなく、以下の要因に基づいて監督するということです。

  • 発達段階 - 活発で好奇心旺盛な幼児は、学校から戻ったばかりの8歳の子どもよりも多くの監督を必要とする。
  • 活動内容 - 遊具で遊んでいたり雑誌から絵を切り抜いたりしている3歳の子どもは、眠っている乳児とは異なるレベルの監督を必要とする。
  • 場所 - 目の不自由な子どもは、保育者の自宅から離れて公園などにいる場合、より多くの監督を必要とする。
  • 環境や周囲の変化 - 雨天や寒さの中では、外遊び用の備品が滑りやすくなる場合があり、外遊びをする子どもは、室内にいる時よりも多くの監督を必要とする。
重要用語
環境 - 子どもの保育を行う周囲のもの、場所、状況
監督 - 状況または他人の制御、管理または指揮
備品 - 子どもに対して、または子どもによって使用されるすべての玩具、食器、家具、建具および用具を含む。

 
子どもの監督とは、子どもが何をしているかを常に把握していることであり、言い換えれば、子どもの様子が常に目や耳に入るということです。監督には3つの種類があります。

  1. 付ききりの監督とは、常に子どもに目を配る場合であり、子どもと密にやり取りをしながら行う場合もある。幼児がはさみや果物ナイフを使っている時などがこれにあたる。
  2. 細やかな監督とは、ほとんどの時間は子どもに目を配っているが、一緒に活動していない場合である。ただし、子どもが危険にさらされれば、保育者はいつでも介入できる状態にある。ジャングルジムや子ども用プールで子どもが遊んでいる場合がこれにあたる。
  3. 通常の監督とは、離れたところから注意深く目を配り、子どもが何をしているかを認識して、定期的に様子を確認している場合である。通常の監督の例としては、カーペットの上で子どもが一緒に遊んでいる場合や、乳児が眠っている場合がこれにあたる。

 

室外環境での安全と監督

 
保育室の屋外を安全に保つことは非常に重要です。英国では規制機関の調査官は、屋外の安全を確認し、保育者の登録に条件を設ける場合がります。例えば、子どもが立ち入る場所を自宅の室内に限ることを条件に、チャイルドマインダーとしての登録が認められるといった場合があります。

ケーススタディー:監督の問題解決策
登録チャイルドマインダーのケイトリンは3人の8歳の児童の放課後保育をしています。年長の子どもの監督について尋ねると、おやつの準備の間に子どもの様子を観察できるように、キッチンと遊び部屋との間の出入り口を開けるようにしていると答えています。
自分がトイレに行く場合には、子どもにプライバシーが必要であることを伝えた上で、子どもの様子が耳に入るようにドアを少し開けておくようにしています。
自分ならどうするか、考察してみましょう。

  • おやつの用意をしなければならないが、子どもは別の部屋でDVDを見ているといった場合、どうしますか。
  • トイレに行きたい場合はどうしますか。
  • 年齢の異なる子どもを付ききりで監督するにはどうすればいいですか。

 

適切な実践のキーポイント
庭での監督と安全

  • 子どもが監督されていない状況で外で遊ぶことのないようにする。
  • すべての園芸用具、備品、化学薬品は、子どもから離れたところに保管する。実際には、鍵のかかる納屋や車庫、別の建物に保管する必要がある。
  • テラスや通路の舗装がしっかりしており、舗装材がゆるんだり欠けたりしていないことを確認する。
  • すべての柵、特に木製の柵に損傷がなく、ぐらつきなどがないことを確認する。
  • 柵や、遊び小屋など、登ってはいけないものに、子どもが登らないようにする。
  • 備品や設備に破損や傷みがないことを確認し、子どもを傷つけることがないようにする。例えば、とがった部分やゆるんだ部品、欠損部材がないかを確認する。
  • ブランコやすべり台、ジャングルジムなどの大型遊具が適切に設置されていることを確認する。設置面には安全マットが敷かれているか、安全な地面であるようにし、子どもが固い地面に落ちることのないようにする。
  • 子どもが庭から出られないよう、安全ゲートや柵を設置する。
  • 廃棄物やごみ箱、車輪付ごみ箱、リサイクルボックスに、子どもが手を触れることのないようにする。
  • ペットがいる場合、子どもが遊ぶ場所にペットフードやペットの汚物がないようにする。子どもとペットが監督されていない状況下で遊ぶことのないようにする。
  • 雨水タンクや池など水がある場所は、覆うか柵で囲う。
  • 砂場は、動物が入り込まないよう、使用していない時は覆っておく。
  • 外にある物干しロープを地面に垂れたままにしない。子どもの手が届かない位置にしっかり固定されていることを確認する。
  • 子どもが手で触れたり、口にしたりした場合に有害な植物がないかを確認する。

 

考察
庭および室内にあるすべての植物を確認しましょう。

  1. 庭および室内にある植物の中で、子どもに有毒なものはありますか。
  2. 葉、樹液、または花が皮膚のかぶれの原因となる植物はありますか。
  3. 確認した事項を書き留め、後日参照できるよう安全な場所に保管しましょう。

こうした情報は、地域の図書館や園芸用品店、インターネットで調べるとよいでしょう。
庭や室内にある有毒な植物は除去すべきですが、この問題については、近隣住民との論争の種になるケースもあります。
隣家の庭から自宅の庭に、有毒な植物や灌木、樹木が突き出していたら、どうしたらよいでしょうか。
コースの他の受講者や他の在宅保育者、当事者である隣人と、この問題について検討してみましょう。

 

外出時における子どもの安全と監督

自家用車に子どもを乗せて、または交通機関を利用しての移動が必要となる場合があります。英国ではナニーの場合、利用できる車が提供される場合もあります。
またバギーやベビーカーで外出したり、ちょっとポストまで歩いて行くことや、未就学児サークルや保育園に足を運んだり、年長の子どもの送迎や、買い物に行くこともあるでしょう。
こうした場合、活発な幼児とバギーに乗った乳児に対処しながら、交通量の多い道路を横断しなければならない場合もあります。
 

保護者の同意

子どもの外出については、事前に必ず保護者に対して書面で同意を得なければなりません。例えば学校が休みの間に特別な遠出を計画したり、普段と異なる場所に出かけたりする場合は、保護者にきちんと伝えましょう。またどのような場合においても、必ず書面で同意を得るようにしましょう。
 

事前に外出の計画を立てる

子どもと外出する際の持ち物としては、何が必要になるでしょうか。必要なものは、行き先や外出時間によって左右されます。
身分証明書、関係する緊急連絡先、携帯電話、救急用品、および子どもの薬など必要と思われるものは、あらかじめ持参する必要があります。
また可能であれば、危険性評価を実施すべきでしょう。

重要用語
危険性評価 - 危険性とは、安全に対して発生しうる危機や脅威を指します。評価とは、測定、査定または判断を意味します。
つまり危険性評価とは、安全に対して発生しうる危機や脅威を注意深く検討し、適切な措置を講じることである。

 
公園や屋外の遊び場に出かける場合は、可能であれば年少の子ども用のエリアが設けられた場所を選ぶようにしましょう。遊具が設置される地面は芝生よりも樹皮のチップまたはマットが敷かれているのが望ましく、すべての遊具が適切に管理されていることを確認する必要があります。
割れたガラスや注射器、ごみや犬の糞が落ちていないか、注意を払いましょう。また大型遊具を使用する場合は、保護者の許可が必要となります。
 

自家用車での子どもの監督と外出

自家用車を使用する場合は、以下の点に注意しなければなりません。

  • 自家用車が有効な道路税納税証明を有していること。
  • 適用対象である場合、自家用車が有効な車検証を有していること。
  • 自動車保険が業務用途に対して有効であり、あらゆる点を十分に網羅するものであることを確認する。全英チャイルドマインダー協会(NCMA)では、この点に関する相談に応じている。
  • 前部座席および後部座席において、大人は全員がシートベルトを着用すること。
  • 子どもは全員が着席すること。子どもが車内で立ち上がったり、膝の上に座せたりすることのないようにする。
  • 乗車する子どもは、各自の年齢、体重および体格に見合った適切なチャイルドシートを使用すること。
  • エアバッグが装備されている場合、後ろ向きの乳児用シートを助手席に装着してはならない。
  • ドアにはチャイルドロックを使用すること。
  • 子どもが降車する際は、車道側ではなく歩道側に出るようにする。
  • 運転の仕方を考える。慎重に注意深く運転すること。他の道路利用者に対応する際は、子どもの良き手本となるようにする。

保育する子どもを他人の車に乗せて外出することについては、極めて慎重に考慮する必要があります。子どもの安全と健康に対する最終的な責任は保育者にあり、その運転者が適切な保険を有し、かつ運転の適性と慎重さにおいて絶対的な確信が持てなければ、その運転者による車での外出は断るべきです。
 

公共交通機関を利用する際の子どもの監督

公共交通機関を利用する場合、以下の点を考慮する必要があります。

  • バス停や駅のホームでは、子どもが歩道やホームの端から十分に離れて立つようにする。
  • 年少の子どもには安全ハーネス(個人用安全ベルト)を着用させ、年長の子どもには保育者と手をつなぐように伝える。
  • バス停はどこにあるか、電車がどのホームに到着し、どこから発車するか、階段の昇降や交通量の多い道路の横断はどのように行うかを把握できるよう、入念に移動の計画を立てること。
  • バスや電車の車内では、子どもは常に保育者の隣に座るようにすること。空いている座席がなければ、子どもを転倒の危険がない場所に立たせ、可能であれば保育者または安全バーにつかまらせること。

 

徒歩で外出する際の子どもの監督と交通安全

子どもと徒歩で外出する際は、子どもの安全について非常に注意深く気を配る必要があります。安全を守る方法を子どもに教えるためにできることは数多くあります。
年少の子どもでも、危険を意識し、安全を守る方法について学び始めることができます。道を歩くことは、子どもにとって潜在的に危険な状況であり、すべての子どもに対して付ききり監督が必要となります。
 

考察
英国では、5歳未満の子どもが毎日1人、交通事故で死亡するか重傷を負っていることを知っていますか。
Brakeは交通安全と交通事故被害者の支援を行う慈善団体であり、日々発生する子どもの死亡や負傷の件数を減らすことを目的としています。
Brakeでは、年少の子どもを対象に交通安全教室を行ったり、保護者や保育者の啓蒙を目的とした特別イベントを企画したりしています。
 
日本では、自治体ごとに交通安全協会が設けられており、保育施設や幼稚園向けの交通安全教室を実施しています。

 

適切な実践のキーポイント
外出中の子どもの監督

  • 幼児や年少の子どもには、個人用安全ベルトを使用するとよい。多くの種類が販売されており、手綱やハーネス、子ども側と大人側の両方にリストバンドがついたストラップなどがあります。どの製品を選ぶ場合も、Kitemark(英国規格協会検査証)または他の公認安全マークがついたものでなければなりません。
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  • 道路を安全に横断する方法を子どもに示し、道路を横断する際は子どもの良き手本となるよう行動しなければなりません。決して急いだり、左右両方向からの車の往来を目視できない場所で横断したりしてはなりません。横断歩道や押しボタン式横断歩道がある場合はそちらを利用します。横断歩道がなければ、全方向の視界が開けた安全な場所を選びます。これまで子どもは、右を見て左を見て、もう一度右を見て、車が来ていなければ安全に横断できると教えられてきましたが、交通量の増えた現在、一方通行の道路や非常に交通量の多い道路では、実行することはなかなか難しいのが現状です。そこで道路を横断する際は、以下のように教えるのが最善です。
    • 止まって、よく見て、よく聞く
    • 安全だと確信できる時だけ横断する。近くに横断歩道や押しボタン式横断歩道があれば、必ずそれを利用する。
    • 絶対に走って道路を横断しない。
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  • バギーやベビーカーは、子どもに対して使用する他の備品と同様に扱います。特にブレーキと折りたたみ機構を中心に定期的に点検を行い、正常に使用できる状態が保たれなければなりません。常にハーネスを使用し、子どもに合わせて調節します。道路の横断を待つ間、車両がぶつかったり、子どもが排気ガスを浴びてしまうおそれがあるので、バギーやベビーカーが道路にはみ出さないように注意します。
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  • 公園やショッピングセンターのような広い場所では、はぐれたらどうするかを年長の子どもと決めておきましょう。インフォメーションデスクや公園のベンチなどの目立つ建物や特別なポイントを探し、そこで落ち合うように決めておくと良いでしょう。年少の子どもの場合は、必ず安全ハーネスなどの個人用安全ベルトを身につけ、ふらふらと歩いて保育者とはぐれることのないようにしましょう。

 

見知らぬ人の危険

見知らぬ人に声をかけられたらどうしたらよいかを子どもに伝えておくことは重要です。「見知らぬ人の危険」について子どもに話し、どうすればよいかを検討しましょう。
どんなに親しみやすく見えても、出会う人がすべて信用できるわけではないことを、子どもに理解させます。見知らぬ人とは話をせず、知らない人にはついて行かないよう、子どもに教えなければならなりません。
子どもを怖がらせたり脅したりするのではなく、そうした状況への対処方法を毅然とした態度で説明しましょう。また保護者にも、保育者と子どもとの間にこうした取り決めがあることを伝え、保護者も子どもに対して同じやり方を活用してもらえるようにしましょう。

英国のKidscapeなどの団体では、身の安全を守る方法を子どもに教えるのに役立つリーフレットや書籍を作成しています。全英児童虐待防止協会(NSPCC)でも、有用な資料を入手することができます。

ケーススタディー:カモに餌をやる
アンナは半年前に登録チャイルドマインダーになりました。自分自身の6歳の子のほかに、2歳半の双子の保育にあたっています。
学校が休みの間に、アンナと子どもたちはよく地域の公園に散歩に行き、カモに餌をやったり冒険遊び場で遊んだりしています。

  • 公園への散歩を全員にとってストレスのないものとするには、どうすればいいですか。
  • カモに餌をやる時、子どもたち全員が楽しみ、かつ安全でいるようにするには、どうすればいいですか。
  • 冒険遊び場では、特有のどういった危険に気をつける必要がありますか。
  • 緊急時に備えて、何を持参すべきですか。

自分の回答を考え、他の保育者と話し合いましょう。

 

評価への課題

評価基準2.2

在宅保育環境と施設外で子どもの安全を監督するための原則を説明する。
【保育・教育顕彰評議会タスク5】

あなたは保育者向けのリーフレットの作成を依頼されており、そのリーフレットには5つのセクションを設けます。2つめのセクションは、在宅保育環境および施設外での子どもの安全な監督の原則に関するものである。

  • そのリーフレットの対象者を考える。対象者により、使用する文体や専門用語が左右される。
  • リーフレットのサイズはどうするか。保健所やスーパーマーケットのリーフレットを見て、サイズやレイアウトのヒントを掴むこと。
  • 原則とは、実践する上で従うべき基準や規則のことである。従って、自宅内外および施設外での安全な監督の規則を特定すること。
  • 保育環境はそれぞれ異なっていることに留意する。従って、同業者と意見を交換するのはよいことだが、実際にリーフレットに盛り込む内容は異なる場合もある。

講師や評価者と専門的な討論を行い、安全な監督の原則について評価者に説明しましょう。評価者はあなたに一連の質問を行い、あなたはその質問について考察します。質問への回答が、後の討論の基礎となります。

 

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