疾患、アレルギー、事件および事故への適切な対応

疾患、アレルギー、事件および事故への適切な対応

 
子どもや乳児は、なんの前触れもないまま突然体調不良に陥ることがよくります。朝、保護者が子どもを保育者に預け、昼食時にはその子どもが体調不良となっている場合もあります。
ほとんどの場合病気の子どもや乳児は、可能であれば自宅で主たる保育者と一緒にいる必要があります。
時として、これは保護者にとって罪悪感や不安の原因となり、保護者の雇用者と保護者の間、そして保護者と保育者の間で衝突を生む場合もあります。

衝突の可能性を抑える方法の1つとして、保育サービス契約に子どもや乳児の体調不良時の状況を含めることが挙げられます。もう1つの方法は、病児保育および、病児、他の子ども、保護者および保育者の家族への責任を網羅する方針を定めることです。ウェールズでは、そのような方針を定めるのが要件の1つとなっていることは非常に興味深く、注目に値します。

病気の子どもや乳児は、健康な子どもよりも多くのことを必要とし、そのニーズを満たす方法を保育者が理解していることが重要です。
登録チャイルドマインダーとしての登録過程で、応急処置訓練を受講しておくことが求められるでしょう。ナニーおよび登録チャイルドマインダーは、必ず応急処置についての最新情報を把握しなければなりませんが、ナニーは専門の応急処置講座を受講するのがよいでしょう。
※日本ではNCMA,Japanのチャイルドマインダー資格取得の際「小児救急救護法(MFA)」の受講が必須となっています。
 

子どもの疾患を見極める

疾患の中には即座に対応が必要なものがあり、中でも最も多く見られるものは髄膜炎です。髄膜炎には複数の型があり、その一部に対して子どもには予防接種が可能です。しかしながら、子どもに髄膜炎の兆候の発現が疑われた場合、速やかに医療機関で診察を受けなければなりません。乳児および幼児に多く見られる兆候は、次のとおりです。

  • 高熱(発熱)。手足が冷たい場合がある。
  • 嘔吐または摂食拒否。
  • ぐずり泣きまたは甲高いうめき声を発する。
  • 無表情で一点を見つめる。
  • 顔色が青白く、紅斑がある。
  • 昏睡状態または、なかなか覚醒しない。
  • 乳児の場合、ぐったりとして触られるのを嫌がる場合がある。
確認
地域の保健センターには、よく見られる小児疾患の兆候、症状および治療をまとめた図表やリーフレットがあります。1部手に入れ、すぐに参照できるよう手元に置いておきましょう。健康保護局(Health Protection Agency)には、疾患に関する有益な情報があります。
子どもが病気だったり体調が悪そうだったりする場合に、助言を求める保護者がいるかもしれません。どんな時も、保護者には医療機関の受診を勧めましょう。髄膜炎のような重大な疾患を見逃すよりは、軽度の疾患でも受診するのが望ましいです。
日本では保健所や小児科のある病院等で髄膜炎菌についてのリーフレットや情報が得られますので、確認すると良いでしょう。

 

考察
保育を実践する上で、あらゆる面において保育者と保護者は連携し、確実に子どもが良好な健康状態にあることを望んでいます。保育者は、保育する子どもが健全かつ安全な環境で発達、発育する手助けをします。
これを実現する方法の1つは、子どもの定期健康診断および発達検査の受診管理において、保護者を支援することです。保護者が予約の日時を守るよう促し、情報を共有しましょう。同様に、保育者が子どもを健診等に連れて行く場合は、重要な情報を必ず保護者に伝えなければなりません。契約を結ぶ際には、保護者は子どもにアレルギーや過敏症があるかどうか、保育者に伝えておくべきです

 

適切な実践のキーポイント
契約
保護者と契約を行う際、以下の点を契約に含めておくことを考えるのも良いでしょう。

  • 親(または祖父母など、適切な人物)と必ず連絡がつく状態でなければならない。
  • 保護者が病気の子どもを保育者宅に迎えに行く、もしくは保育者を支援するために帰宅することができない場合、保護者は代替手段を講じなければならない。
  • 保育者は緊急時を除いて、子どもへのいかなる治療も許可することはできない。
  • 特に登録チャイルドマインダーの場合、1人の子どもの保育をすることで他の子どもの健康が危険にさらされる場合は子どもを保育しない、という最終決定を下すのは保育者である。

 
登録チャイルドマインダーの場合、登録条件として感染性疾患の子どもの保育は禁じられていることを、保護者に伝える必要があるかもしれません。保育者は、保育する他の子どもに対しても、安全かつ健全な環境を提供する責任があるからです。
保育する子どもの1人が感染性疾病を発症したことが分かれば、他のすべての子どもの保護者に連絡しなければなりません。ほぼすべての疾患において、症状が現れる前の子どもが最も感染力が高いのです。

重要用語
アレルギー - 物質、食品、動物、またはその他の環境要因に対する拒絶反応または過敏症
感染性 - インフルエンザのように、環境を通じて広がる疾病または疾患

 

確認
診療所や医療センターは、貴重な情報源です。あなたの地域の診療所や医療センターで、感染性疾病や届出対象疾病のリーフレットや図表を入手し、後で参照できるよう手元に置いておきましょう。

 

重要用語
届出対象疾病 - 風疹、髄膜炎、麻疹など、公的保健機関に報告義務のある重大な感染状態

日本では感染症法に基づき第5類感染症の1部として風疹、麻疹、侵襲性髄膜炎菌感染症の感染が発覚した場合には、診断した医師が直ちに所轄の保健所に報告することが義務付けられています。

 

体調不良の子どもの保育

年少の子どもは短時間で体調不良に陥ることがあり、その状況で最初にできることの1つとして、体温の測定が挙げられます。できるだけ早く保護者と連絡を取ることも非常に重要となります。体調不良の子どもには静かな、可能であれば他の子どもから離れた場所で休養することが必要です。ただし保育者が子どもを見守ることができる場所とします。

子ども用体温計は、保育者が備えるべき救急用品の1つです。入手可能な体温計には3つのタイプがあります。最も普及しているのはデジタル体温計(読み取りやすい)で、検温テープ(色が変化する)や水銀式体温計(読み取りにくい場合がある)もあります。どのタイプを使用するかは個人の好みですが、体温を正確に読み取れるようにします。

正常な体温は37°C前後であり、体温がそれよりも高ければ、体が感染と戦っていることを示しています。高熱の子どもは、熱性けいれんの危険性が高まるため、子どもの体温を下げる手立てを取るべきでしょう。

適切な実践のキーポイント
子どもの体温を下げるのに役立つ方法

  • 室温が高すぎないように注意する。15°Cが妥当である。
  • 子どもの衣服を脱がせる(下着を除く)。
  • 子どもの体に羽毛布団や毛布を掛けない。
  • 冷水を頻繁に飲ませる。
  • 冷水を含ませたスポンジ等で、子どもの体、特に手、顔、上半身を拭いてもよい。

 

アレルギー

多くの子どもが、食物アレルギーや食物不耐症を患っています。食物アレルギーの中には、ナッツ類や甲殻類に対する不耐症など命に関わるものもあります。これらは体にアナフィラキシーショックを引き起こすことで、血圧低下や気道のむくみを原因とした呼吸困難につながることが多くあります。アナフィラキシーショックにより、子どもが死亡する場合もあります。保育中に、子どもが何かにアレルギー反応を起こした場合、その対処法を正確に把握していなければなりません。

自宅の庭にある一般的な植物の一部には、触れた時にアレルギー反応を引き起こすものがあります。例えば、サクラソウは華やかで色鮮やかであり、年少の子どもにとっては魅力的に見えるかもしれませんが、触るとかぶれたりアレルギー反応を起こす植物とされています。

ケーススタディー:ザックの発熱
アリソンは朝8時30分に、18カ月のザックを登録チャイルドマインダーのトリッシュに預けました。ザックは昨晩あまり眠っておらず、アリソンはそのことを預ける直前にトリッシュに伝えた。
昼食時間までの間にザックの顔は紅潮し、体が熱っぽくなりました。昼食はいつもと違い、全くほしがりませんでした。トリッシュは検温テープでザックの体温を測定すると、38.7°Cでした。
トリッシュはとり急ぎ仕事中のアリソンに電話をかけ、ザックの体調が優れないことを伝えました。そのときアリソンの直属の上司は昼食中だったため、アリソンはすぐに退社することができませんでした。
トリッシュはザックの体温を下げる手立てを取ってみることを承諾し、アリソンは午後3時までには迎えにに行けるだろうと伝えました。またアリソンは、ザックのかかりつけ医の予約を取るとも話しました。

トリッシュは遊び部屋が暑すぎないように注意し、ザックのジーンズ、トレーナー、靴下、靴を脱がせ、Tシャツと下着だけにしました。そしてザックの頭部、顔、手を冷たい濡れタオルで拭き、冷水を飲ませました。
ザックとトリッシュはしばらくの間、一緒に大型ビーズクッションに座って本を見ていましたが、やがてザックは眠りました。他の子どもは、同じ部屋でビデオを見ていました。
トリッシュはザックをその場に残して離れたが、数分ごとに熱がさらに上がっていないかどうかの確認を続けました。

アリソンが到着した時、ザックはまだ眠っており、体温はわずかに下がっていたものの、まだ正常な体温ではありませんでした。
トリッシュはザックの体温、水分摂取量、ザックの気分が楽になるよう行ったことについてのメモを作成し、アリソンに渡しました。アリソンはそのメモをかかりつけ医に持参し、情報を共有しました。

その日遅くにアリソンから電話があり、かかりつけ医の話によると、ザックは2歳未満の子どもに非常に多い突発性発疹(三日熱)を発症したものと考え、パラセタモールを処方したとのことでした。その週の週末までは、アリソンの母親が自宅でザックの世話をすることができるとのことで、うまくいけば、翌週にはトリッシュのもとに戻ってこられるようでした。

  • トリッシュの対応は適切だったと思いますか?
  • ほかにトリッシュがすべきだったこと、できたはずのことはありましたか?

 

考察
自宅の庭を、殺風景でつまらないものにするべきでしょうか。それとも、そうした植物などを子どもに触れないように教えますか

 
動物の毛もアレルギー反応の原因となり、ぜん息発作を引き起こす場合さえあります。ぜん息の子どもがいる場合、その子どもが使用する吸入器は安全で安心できる場所に保管した上で、いつでも手渡せる状態にしておきます。
子どもが吸入器を使用した後でも呼吸困難な状況であったり、アレルギー反応によって呼吸困難が生じている場合、すぐに救急車を呼びます。衛生管理には必ずペットを考慮すること。
 

確認
ぜん息発作は子どもにとって、とても恐ろしいものであり、保育者はその状態に関して、できる限り調べておきましょう。ぜん息UK(Asthma UK)のウェブサイトには、特に就学前および学齢期の子どもに関するページがあります。
日本では厚生労働省のウェブサイトで小児気管支喘息についてのガイドライン等が示されています。

 

事件、事故および緊急事態

 

考察
王立災害防止協会(RoSPA)の調査は、以下のことを示しています。

  • 家庭内での事故は、大部分がリビングまたはダイニングルームで発生し、最も重大な事故はキッチンおよび階段で発生している。
  • 家庭内での事故の危険性が最も高いのは、0~4歳の子どもである。
  • 毎年7万人近くの子どもがキッチンでの事故に遭い、その66%に4歳未満の子どもが関係している。
  • 事故の大部分は夏期や学校が休みの間の夕方前後に発生している。
  • 男児は女児よりも事故に遭う確率が高い。

 

事故の防止

知ってのとおり、事故とは予期せず計画外に発生するものであり、故意に引き起こされるものではありません。事故は防止することができます。少なくともその影響を抑えることは可能です。在宅保育者としての責任は、事故発生の防止に努めることですが、万が一発生した場合は、その対処法を把握していなければなりません。

表4.1は、子どもに最も起こりやすい事故、考えられる原因、その事故を防止するための対策の例を示しています。事故はいつ、どんな場所でも、通常は予期しない時に発生するものであることを心に留め、備えを怠ってはなりません。

表4.1:起こりやすい事故、原因および予防策

起こりうる事故 考えられる原因 防止策
切り傷、擦り傷 はさみやナイフなどの刃物 刃物は子どもの手の届かないところに置く。
家具や備品のとがった縁 家具の縁、特に角をコーナークッションなどで保護する。
破損や故障のある玩具 破損や故障のある玩具は撤去するか処分する。
割れたガラス テラスのドアなど、大きなガラス面にはステッカーで印をつけ、子どもの飲み物はプラスチック製コップを使用する
転落、転倒 子ども用ハイチェアから床、ベッドから床など、高さの異なる場所からの転落 子ども用ハイチェアには、ハーネスや個人用安全ベルトを使用する。ベッドにはベッドガードをつけ、ベビーベッドの側面はしっかりと所定の位置に固定する。
床に放置された玩具につまずく 遊び終わったら玩具を片付けるように子どもを促すことを日課にする。
階段や踏み段の昇降時の転倒 階段や出入り口に安全ゲートを固定する。子どもには、見守りなしで階段を昇降させない。
窓からの転落 窓にはロックを取り付け、子どもが登らないよう、窓の下にある家具を移動する。
火傷および火災 ひっくり返った熱い飲食物 熱い飲食物を子どもの手の届くところに置かない。
マッチおよびライター マッチおよびライターは、子どもの手の届かないところに保管する。
暖炉およびヒーター 熱源の周辺には安全ガードを取り付ける。防火用毛布や消火器を手の届くところに備える。
熱湯 家庭用温水は54°Cを超えてはならない。
やかん、アイロンおよび電熱機器 電熱機器にはコイル状のコードを使用し、熱源の縁からコードが垂れ下がらないようにする。
調理器具 オーブンの扉には保護ガードや耐熱カバーを取り付ける。片手鍋の取っ手は天板やコンロの縁と反対側に向けておく。
中毒 洗剤などの清掃用品 子どもが開けられない安全な棚に保管する。
植物 - 室内および庭にある植物 手の届かないようにするか、できれば有毒な植物は除去する。
医薬品 施錠可能な背の高い棚に保管する。
化粧品 子どもの手の届かないところに置く。
ちっ息 18カ月未満の乳児には枕を使用しない。
玩具の小さな部品 小さな部品を含む玩具は、小さな子どもの手の届かないところに保管する。
縄とび 子どもに、縄とびロープを縄とび以外のことに使用させない。
衣服や家具のコードやひも ひもを使用した衣服は避ける。家具やブラインドのコードが垂れ下がらないようにする。
ビニール袋 ビニール袋は簡単に開けられないように結んでから、子どもの手の届かないところに保管する。
ナッツ類 幼児には与えない。
感電 電気のコンセント 使用していないコンセントには、すべてコンセントカバーを取り付ける。たこ足配線でコンセントに負荷をかけすぎない。
破損した電気機器 コードのほころびや破損がないか、電気機器を点検し、必要に応じて交換する。
溺水 浴槽 付き添いや見守りをせずに、浴槽内に子どもを入れたままにしない。
子ども用プール 見守りせずに、子ども用プールに子どもを入れたままにしない。
観賞用の池 池を覆うか柵で囲う。
水の入ったバケツやボウル バケツやボウルに水を入れたままにしない。

 

救急用品

薬局やスーパーマーケットで、救急用品セットを購入することもできます。しかし、こうしたセットの中には、保育者のニーズにそぐわないものが含まれる場合もあります。多くの保育者が、独自の救急用品セットを作成しています。そうすることで、保育者が必要とし、使用方法を把握しているものを救急用品セットの中に入れておくことができるのです。地方自治体の発達担当官や応急処置講座の講師は、最低限必要な品目例のリストを用意している場合もあるので、尋ねてみるとよいでしょう。
 
救急用品を使用したら、その都度使用した品目をメモし、必要に応じて買い物リストに加える習慣をつけましょう。また救急用品セットを使い終えたら、必要なものがすべて揃っていて、使用できる状態にあることをざっと確認することも必要です。セット内容の一覧を容器の蓋に貼り付け、一覧と照らし合わせて確認してもよいでしょう。

NCMAの提言
全英チャイルドマインダー協会のウェブサイトから、承認済み救急用品セットを入手することができます。

 

考察
あなたの救急用品セットには、何を入れますか。あなたが保育する子どもに使用するのにふさわしい救急用品の一覧を作成しましょう。

  1. 絆創膏へのアレルギーの可能性を考えましたか。
  2. 絆創膏の代わりに、何を使用すればいいでしょうか。
  3. 体温計が必要ですが、さまざまなタイプの体温計について検討しましたか。あなたにとってどれが最も使いやすく、体温を読み取りやすいですか。
  4. 子どもとあなたを保護するための、使い捨て手袋を入れましたか。ゴム手袋は、アレルギー反応の可能性にも注意しなければなりません。
  5. 救急用品をどこに保管しますか。
  6. 救急用品の保管には、どのような容器を使用しますか。
  7. どれくらいの頻度で、救急用品を点検しますか。

 
作成した救急用品セットは、保育業務にのみ使用すること。自分の家族が使用する薬剤を、保育する子どもに投与してはいけません。いかなる応急処置や薬剤を施す場合も、事前に子どもの保護者から書面で許可を得ていなければなりません。就学前教育基礎段階の指針では、必要となるたびにその都度、書面による許可を得ることを提言しています。
子どもに与えるように保護者から依頼された薬剤は、子どもの手の届かないところに、適切な温度(ラベルを参照)で保管し、一連の治療が終了したら、注意深く廃棄しなければなりません。保護者は、薬剤の用量や前回投与した時間について、書面で保育者に説明するようにしましょう。
事故や事件については、発生日時、関係する子ども、保育者の対応をすべて記録してたうえで保護者にその記録を確認してもらい、確認印またはサインをもらわなければなりません。
 

緊急事態への対処

緊急事態は事故と同様、突発的なものです。自分だけが関わる場合もあれば、複数の人が関わる場合もあります。緊急事態はしばしば、事故の結果として発生します。
自宅の敷地内での火災は緊急事態であり、保育者と保育する子どもが、迅速かつ安全に家から避難する方法を把握している必要があります。
全員が対応を把握し、落ち着いていられるように、定期的に火災時の避難手順を訓練すること。
事故や緊急事態の予測は不可能でも、備えておくことは可能です。最善の対処方法は、最悪の事態に備えるため、個人緊急時計画を定めておくことです。このような対策があれば、いざというときに落ち着いて、より適切に対処できるでしょう。
 

緊急時計画

固定電話もしくは携帯電話が利用できるようにしておきましょう。携帯電話を利用する場合、子どもと一緒にいる時は携帯電話が完全に充電されているようにします。また、電波の状態が良好かどうかも確認します。自宅の電話に問題がある場合に備え、最寄りの公衆電話の場所を把握し、テレフォンカードまたは小銭を手元に置いておきます。
※救急サービスには、固定電話もしくは公衆電話から999(日本では119)をダイヤルすればつながることを忘れずに。多くの携帯電話サービスでは、自分の携帯電話事業者の電波が入らない場合でも、112を使用して通話できる。(112が使用できるのはEU圏内に限られています)
必要不可欠な電話番号の一覧は、常に最新のものにしておくこと。この一覧には、次のような番号が含まれます。

  • 子どもの保護者および、保護者に連絡がつかない場合の緊急連絡先
  • 子どものかかりつけ医
  • 保育者のかかりつけ医
  • 最寄りの警察署および消防署
  • 事故対応および救急診療部門を持つ最寄りの病院
  • 保育者が自宅を離れる必要が生じた場合に電話して、不在時の対応を依頼できる人物の名前、住所および電話番号
    ※大人の付き添いなしに子どもだけでいる状態には決してせず、可能であれば、子どもは他の有資格者と常に一緒にいることを伝え、保護者を安心させる必要があります。

子どもについての記録も最新の状態にしておきます。緊急時対策をまとめる際は、最初に行うこととして何が最も重要かを決める必要があります。この最初の行動は、4Bとして知られています。

  • 呼吸(Breathing) - 子どもがまだ息をしているかを確認するのが最優先となります。
  • 出血(Bleeding)
  • 骨折(Breaks)
  • やけど(Burns)

特に訓練を受けていない限り、子どもの蘇生を自分だけで何とかしようと考えてはいけません。少しでも迷いがあれば、即座に救急車を呼びます。
 

緊急時への備え

頭の中で、緊急事態のイメージトレーニングを行いましょう。これにより、最初に行うことの心づもりができ、実際の緊急時に、より自信を持って子どもを安心させられると感じられるでしょう。
個人の緊急時計画は、次のようなものになるでしょう。

  1. パニックにならず、冷静さを保ち、2~3回深呼吸をする。
  2. 前述の4Bに従ってけがに対処する。
  3. 保育者や子どもに被害が及ぶことなく緊急事態を食い止めることが可能かどうか、例えば、安全に実行できるのであれば防火用毛布や消火器を使用できるかどうかを確認する。
  4. すべての子どもの安全を確認し、可能ならば、子どもを周辺区域から退去させる。その際決して子どもから目を離してはなりません。
  5. 必要に応じて救急サービスや医師に電話する。適切な相手に連絡していることを必ず確認し、自分の名前を告げ、電話している理由を明確に伝える。
  6. 子どもの保護者に連絡する。メッセージを残す場合は、簡潔にするよう心がける必要がありますが、保護者がパニックに陥らないよう、必要な情報はすべて伝えましょう。自分と連絡がとれるように連絡先電話番号を忘れずに伝えること。
適切な実践のキーポイント

個人の緊急時計画

個人の緊急時計画とはまさに、保育者が個人的に使用し、保育者自身に役立つものである。

  • 個人の緊急時計画を書き出し、保育者の身に何かが起こった場合に、他の人がそれに従って行動できるようにしておきましょう。
  • 自分の計画を定期的に見直し、必要に応じて変更します。子どもの記録を最新のものにしておくためには、特に重要になります。

全英チャイルドマインダー協会は、保育者と保護者が住所、電話番号、緊急連絡先、医療詳細情報およびその他の役立つ情報を記入できる用紙を作成しています。独自の用紙を作成してもかまいませんが、子どもの安全を守るため、子どもに関して把握すべき詳細情報がすべて盛り込まれるようにすること。

 

登録チャイルドマインダーの声
「私は火災避難訓練を最低月に1回、また新しい子どもを受け入れた時には必ず行っています。子ども達に、キッチンが火事だから玄関から逃げなければならないと言う時もあれば、遊び部屋が火事だから裏口から出なければと言う時もあります。ゲームではなく、真剣な訓練になるよう心がけています。というのも、火事の時にどうすべきかをすべての子どもが分かっていることは、命に関わると思っているからです。」

なぜ保育者にとって関連する応急処置資格が必要なのか

あらゆる状況、事故または緊急事態に完全に備えておくための最も効果的な方法の1つは、関連する最新の応急処置資格を取得することです。保護者としても、保育者がプロであり、できる限り多くの公認資格を取得しようとしていることが分かれば、大きな安心材料になるでしょう。
応急処置講座は、英国教育水準局/ウェールズ保育・介護および社会福祉監察局の要件であり、Nestor(ナニー承認機関)により承認されています。この資格は非常に重要であり、緊急事態への対処方法や一部の応急処置を教えるものです。資格の大部分は3年間のみ有効で、更新が必要になります。
最新の応急処置資格を取得していることは、子どもの保育にあたるすべての人にとって必要不可欠です。しかし、自分の限界を自覚することも重要であり、緊急時には自分が資格を有する手順のみを実行すること。
※日本ではNCMA,Japanによるチャイルドマインダー資格取得の際、小児救急救護法(MFA)の実習が必須となっています。
 

緊急時の応急処置

緊急時に保育者が応急処置を行う必要がある場合には、次の流れに従うこと。

  • 平静を保つ - 平静を保つことで、状況を把握できる。
  • まず危険な状況に対処する。
  • けがをした子ども、他の子ども、保育者自身を危険から遠ざける。>
  • けがをした子どもに話しかけ、反応を見る。

CPRTに留意する。CPRTとは『保育者は事を急がない(Childcarers Don’t Rush Things.)』という意味です。
次に、応急処置講座で学んだABCの流れに従います。

  • 子どもの気道(airway)を確認する。A
  • 子どもの呼吸(breathing)を確認する。B
  • 子どもの血液循環(circulation)、脈はあるかを確認する。C

子どもを回復体位にする。下のイラストを参照すること。

  • 吐物がのどに詰まらないよう、上半身と顔を横向きにする
  • 姿勢が安定するように上側の足を90度に曲げる

 
自分が対処している状況が緊急事態や危機ではないとしても、C D R Tを留意する必要があります。事故の多くは、保育者の救急箱に必要なものが完全に揃い、保育者が対処法を把握していれば、容易に対処することが可能です。表4.2は、子どもに起こりやすい軽度の事故に対処する際に実施する応急処置の種類を一覧にしたものです。

表4.2:起こりやすい軽度の事故に対する応急処置

事故 応急処置・手当
あらゆる種類の擦り傷 大量の冷たい清浄水で擦りむいた箇所を洗い流し、汚れを完全に落とす。
軽度のやけど 最低10分間、冷たい流水をあてる。化学やけどの場合は最低20分間とする。やけどした箇所を覆わない。
鼻血 子どもの頭を前方に傾け、鼻筋のすぐ下をつまむ。
打撲およびねんざ 該当の箇所に冷たいものを載せる(清潔で小さなタオルで包んだ袋入りの※冷凍豆が理想的である)。
頭部のけが けがの箇所に冷たいものを載せる(清潔で小さなタオルで包んだ袋入りの※冷凍豆が理想的である)。
鼻の中または耳の中の異物 異物を自分で取り除こうとせず、医師に取り除いてもらう。

※冷凍豆…欧米ではグリーンピースを袋に入れて冷凍し、保冷剤として使用することが多く、多くの家庭で常備されています。
 

評価への課題

評価基準2.1

健全かつ安全な在宅保育環境の重要な要素を説明する。
【保育・教育顕彰評議会タスク5】

作成する情報リーフレットには、健全かつ安全な在宅保育環境の重要な要素を含める。事故や緊急事態への対処方法、また自宅を安全かつ健全なものにする方法への影響について、自分が理解しているかを考える。
保育・教育顕彰評議会タスクを実施しない場合は、自分の緊急時計画と、事故に対する方針および手順を、この基準に対する証明として使用してもよいでしょう。

 

安全と自立のバランス

子どもの安全を確保することと、子どもに自立を学ばせ、促すこととのバランスを取ることは、なかなか容易ではありません。そもそも幼児とは、好奇心旺盛で探索を好むものであり、探索は、学習方法の1つなのです。
例えば、年長の子どもは自分だけで近所の店に行けるようになりたいと願い、そうしたことで自信と自立を獲得していくのですが、保育者は必ず、子どもだけで外出させる前に保護者に相談し、書面での許可を得なければなりません。

重要用語
自立 - 自主自立、自由、独立独歩。すなわち、介入を受けずに活動に取り組んだり、経験したりすること。

 
すべての子どもは、自分で危険性を把握し、対応する方法を学ぶ必要があります。それにより、自信や自尊心が形成されていくのです。これは、子どもが自分で物事を発見できるような、取り組みがいのある遊びの経験や活動を提供することで、効果的に行われます。ただし当然ながら子どもが危険な目に遭わないことを前提とします。

子どもには、幼いうちから安全と緊急事態への対処法について教育する必要があります。子どもは保育者や保護者、その他の好ましい手本から、安全について学んでいきます。誰もが家ではくつろぎ、家にいるから安全だと感じるものです。しかし事故の大部分は夏期に、家庭内で発生しています。年少の子どもがゲートを設置していない階段に出入りするようであれば、時期が来たらはいはいで安全に上り下りする方法を教える方が、転がり落ちてしまうよりも望ましいと言えるでしょう。年長の子どもの場合、身の安全について心配するよりも、子どもが保育者の住所と電話番号を把握している方が望ましいといえます。
 

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