子どもの発達段階に関連した典型的な行動

子どもの発達段階に関連した典型的な行動

 
子どもは何が容認できる行動かを理解して生まれてくるわけではありません。これは成長発達の中で学んでいくものです。子どもが社会の一員として役立つため、容認できる形の行動を学ぶ上で、大人は重要な役割を果たします。
チャイルドマインダーは、好ましい行動の育成において、極めて重要な役割を果たしています。かつて大人は、子どもが文句を言わずに言うことを聞き、大人の要求に素直に従う(服従する)ことが良しとされていました。子どもの行動は制御によって管理され、子どもの権利やニーズはほとんど、またはまったく考慮されていませんでした。今日では、大人は、子どもには権利があり、評価される資格があるということを認識しながら、行動に対処しています。大人は好ましい行動を積極的に育成しています。好ましい行動は、力があり、評価され、尊重されている子どもから芽生えるのです。

重要用語
力がある - 状況を制御する機会を持っている/与えられていること

 

行動に影響する要因

子どもの行動に影響を与え得る要因は数多く存在します。影響には体調が優れない、非常に疲れているなど、かなり短期間のものもありますが、虐待の影響など、長期にわたるものもあります。
 
全体的な発達
子どもは感情面で困難を抱えていたり、ある面で発達が遅れていたりするために、ある特定の行動を取ることがあります。何らかの形の発達の遅れがある子どもは、その年齢の子どもには通常は関連付けられない行動を示すことがよくあります。
聴力損失など、一時的または長期にわたる身体的障害がある子どもは、他の子どもや大人の話を聞いたり、指示に従ったり、遊びに参加したりすることができません。他の子どもとのコミュニケーションが困難なこともあり、これは人間関係に影響するため、失望したり怒ったりすることがあり、それが行動に反映されることもあります。

セルフイメージ
子どもが自分についてどう感じているかが、行動に影響することがあります。子どものセルフイメージも同様に、多くのことから影響を受けます。

行動に影響する要因

子どもをとりまく状況の変化は、しばしば行動の変化に反映されます。これらの変化は、子どもまたはその家族に即座に影響を及ぼすことがあります。子どもはそれぞれ固有の存在であり、変化に対して非常に異なった反応をする可能性があることを覚えておく必要があります。

変化には次のようなものがあります。

  • 家族に赤ちゃんが生まれる。
  • 家族、親しい友だち、またはペットの死
  • 引っ越し
  • 家族の疾患
  • 両親の離婚、別居
  • 親の仕事のパターンの変化、または失業
  • 片方の親の再婚に伴うステップファミリーへの適応
  • 別の環境への移行、クラス替え、転校

 
子どもの人格
子どもの人格がどのように発達するかを考えてみましょう。人格は親から受け継ぐのでしょうか、それとも経験や環境の影響を受けて発達するのでしょうか。これはよく「生まれか育ちか論」と呼ばれます。おばあちゃんが気難しいと、孫の一人も気難しくなるのでしょうか。それとも、おばあちゃんの気難しさは、お金が足りず、いつも疲れていて、生活水準が高くなかったことによるものだったのでしょうか。

考察
  • 親が「行儀がいい」と子どもも「行儀がいい」と思いますか。
  • 子どもの親がいつも法律に違反している場合、その子どもも「同じ轍を踏む」ことになるでしょうか。
  • 内気で物静かな親の子は、内気で物静かでしょうか。
  • あなたの人格について考えてみましょう。あなたの人格的特徴や行動は、いくつ自分の子どもに受け継がれていますか。
  • 母親または父親の人格について考えてみましょう。

 
子どもの学校
学校、保育園、または未就学児サークルには、それぞれに期待される行動があり、子どもはそれに適応することを学ばなければなりません。これはその学校に行く前後の行動に影響を及ぼすことがあります。学校で一定時間、じっと静かにしていた子どもは、当然「うっぷんを晴らす」必要があり、保育者の家または子どもの家庭に着いたら余ったエネルギーを使いきる必要があるでしょう。

仲間グループ
一部の仲間グループでは、独自の「ルール」や期待される行動が決められます。これは個々の子どもにプラス/マイナス両方の影響を与えます。仲間グループの影響および、所属したいというニーズは、年長の子どもで非常に強くありますが、研究が示すところによれば、仲間グループの圧力は非常に幼い年齢の子どもの行動にも影響を与えることがあります。グループに溶け込みたいという欲求は、時には保育者や保護者との衝突につながることもあるのです。

ケーススタディー:カーリーの仲間の圧力
4歳のカーリーは、他のみんなと同じようなブランド物のデザイナーの運動靴を履けなければ保育園に行きたくないと言いだしました。その靴を履けないとなると、金切り声をあげてかんしゃくを起こしました。母親はかんしゃくにうんざりし、降参してカーリーにその運動靴を履かることにしました。

  • なぜ、これが仲間の圧力の例なのでしょうか。
  • 同じような状況で、あなたならどうしますか。

 
メディアの影響
子どもはテレビで目にした人々の行動を真似ることがあります。例えば有名なフットボール選手が試合中につばを吐いたり、審判の決定に異議を申し立てたりする様子などです。こうした「スター」の行動を目にした子どもは、それが容認できる行動だと思い、真似をすることがあるのです。

年少の子どもは、2004年12月のアジアの津波や、コッカーマスの洪水の影響、2009年のハイチ地震など、世界的な大きな出来事(悲劇であることが多い)をメディアが報じる様子に影響を受けることがあることも覚えておかなければなりません。特に子どもがそれを話題にしない場合、こうした出来事におびえたり不安を感じたりしていることをどうやって判断したらよいでしょうか。子どもがどう思っているかは、行動のあり方に反映されることがあります。

すべての子どもがこうした影響に対して、その子なりの独特の方法で反応を示します。子どもの反応は年齢や発達段階に応じて異なります。例えば2歳児は家庭に新しい赤ちゃんがやってくると、かなり欲求不満になる可能性があります。その子どもは、自分がこれまでほど注目されないことに気づいても、理由がわからず、自分にできるたった1つのことをするようになるのです。すなわち、金切り声をあげてかんしゃくを起こすことです。

この行動は、2歳児であれば容認できるかもしれません(必ずしも勧められるものではない)が、5歳児が欲求不満を同じように表現した場合は心配すべきです。同様に大人を「カッコいい」と見なさず、仲間と一緒にいることを好む、ホルモンの影響を受けたティーンエイジャーが、話をしたがらないという行動は容認できるかもしれません。
5歳児が話をしたがらないことは当然予想されることではありません。5歳児はわくわくする出来事について話したり、週末にしたことを思い出したりするのが一般的です。ティーンエイジャーの話したがらないという行動は発達段階である可能性がありますが、5歳児ではこれは心配の種となるでしょう。

特定の年齢で認められる共通の行動の一部は、例えば次のようなものです。

  • 12~14カ月 - 自立心が旺盛になるため、邪魔されると激怒する。
  • 18~21カ月 - 強情になり、大人の助言に従わなくなる。
  • 8~11歳 - 弱い大人を寛容できない。

発達のこれらの面はすべて、心配の種となりうる行動につながる可能性があります。子どもはそれぞれ固有の存在であるため、いろいろな意味で心配になる行動の原因として共通のものはありません。子どもは異なる速度で発達し、さまざまな状況や人に対し、異なる反応を示します。しかし起こり得る行動と原因のいくつかを、4つの主なグループに分けることは可能です。

ケーススタディー:実際にあった話
2004年9月 - ロシアのベスランの学校で起きたテロリストによる襲撃の直後
1年生のジョージのクラスは、屋内の体育授業で学校のホールに行く前に、教室で着替えをしていました。ジョージは着替えを非常に渋っているようで、着替えようとする姿勢がほとんど見られませんでした。親しい大人がそばへ行くと、ジョージは突然泣き出し、テロリストが来て捕まってしまうかもしれないからホールへは行きたくないと言いました。

2009年8月 - カンブリア州コッカーマスの洪水の後
ベヴは5歳の娘が、雨が激しく降ると非常に動揺し、神経質になり、ストレスを感じていることに気づきました。どうしてそういう気持ちになるのかをを尋ねると、彼女はテレビで見たように、雨水が家の中に入ってきて何もかも押し流してしまうのではないか、とても心配なのだと言いました。

 
子どもに心配な行動が見られる場合、その行動が虐待に関連している可能性があるかどうか考慮することが重要になります。
いじめは子どもの行動に重大な影響を与える可能性がありますが、子どもはいじめについて話したがらない、または話すことができない場合があります。したがって内向的になる、話したがらなくなる、怒る、動揺する、または攻撃的になる可能性があるのです。

  • 子どもの行動は具合がよくない場合に変化することがあります。行動面で退行することもあります。例えばトイレトレーニングが完了した子どもが、具合がよくないときにおもらしをするようになることもあります。またいつも以上にしがみついてきたり、攻撃的になったりすることもあるでしょう。子どもによっては内向的になり、話したり遊んだりしたがらなくなり、放っておいてもらいたがることもあるのです。
重要用語
退行 - 発達の前の段階に戻ること

 

考察
行動心理学者の理論では、一部の子どもが心配の種となる行動を示す理由を説明しています。子どもはある種の行動をとると、大人や他の子どもの注目を集めます。子どもの目から見ると、悪い意味での注目でも、まったく注目されないよりはましなため、保育者がやめさせようとしている行動が事実上強化されてしまいます。例えば、仲良く遊んでいた子どもが、それでは保育者に注目されないため、別の子どもをたたく。保育者は、この行動に関し、最初の子どもに対応しなければなりません。その結果、子どもは保育者の注目を得られたことになります。

 

ケーススタディー:注意を引きたがるアディー
3歳のアディーは赤ちゃんの弟をかすめるように、玩具を部屋の向こう側に投げました。チャイルドマインダーであるジェナはやめるように言うが、アディーは玩具を投げ続けました。ジェナはもう一度、やめるよう言いました。ジェナは、アディーが玩具を投げることで注目を得ていることに気づきました。アディーはこのように行動すると、ジェナの注意が赤ちゃんではなく自分に向くことを学習したのです。

ジェナはこのことについて子どもの保護者と話し合い、保護者もまた容認できないと見なされることをアディーがしたときの方が、彼女に注意を向けていたことに気づきました。ジェナと保護者は、良い遊び方をしているときにアディーを褒め、注意を向けることで合意しました。

  • アディーがこうした方法で注意を引く必要があるのはなぜだと思いますか。
  • こうした状況で、あなたならどうしますか。

 

評価への課題

評価基準7.1

子どもが示す典型的な行動を発達段階と生活の主な出来事に関連付けて説明する。
【保育・教育顕彰評議会タスク9】

典型的な行動について説明するレポートを書くことを求められます。説明は明確で詳しいものにしましょう。主張の裏付けとなる理由を示す必要があります。例えばかんしゃくは2歳児では「正常」な行動だと書く場合は、その理由を述べる必要があります。
また、子どもの人生において、特定の出来事がさまざまな行動を引き起こす理由についても説明すべきです。ただし子どもはみんな、発達の速度が異なることに留意し、大雑把な一般論は避けるべきです。

保育・教育顕彰評議会タスクに従っていない場合は、この情報を、図や表など別の形式で示してもよいが、発達や行動を一般化しないよう注意が必要となります。

 

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