機密保持とデータ保護の重要性

機密保持とデーや保護の重要性

 

家庭的保育者は、保育する子どもとその家族に関する多くの情報を得ることになります。保護者や、教師や医師などの専門家から(保護者の許可を得て)保育者に直接伝えられる情報もあれば、子どもから間接的に得る情報もあるでしょう。機密保持とは、子どもを含め関係する家族に関する個人情報を、第三者に提供したり伝達したりしてはいけないということです。

 

重要用語
機密保持 - プライバシーや個人情報などの情報を、漏洩することなく保持すること

 

子どもに関して知っている情報はすべて機密情報と考え、保育者、保護者および子どもとだけで共有しなければなりません。子どもは言語療法士など他の専門家の支援や手助けを必要とする場合があります。子どもに関する情報を開示する場合は、事前に保護者から書面による許可を得なければなりません。
ただし例外として、子どもの安全性が危険にさらされる場合など、安全確保が急務となる状況においては、この限りではありません。

登録チャイルドマインダーの声
「家庭的保育を始めたばかりの頃、経験豊富なチャイルドマインダーから非常に良いアドバイスをいただきました。
彼女は私に『<機密保持リスト>を作りなさい、そして自分自身と自信の家族に関する情報が広く知れ渡ったらどう思うかを考えなさい』と教えてくれました。」

子どもや家族に関するデータを機密扱いすることの重要性

子どもとその家族は法律上、プライバシーの権利が保障されています。データ保護法(日本では個人情報保護法)は、機密情報や個人情報が本人の許可なく伝達されるのを防止することを目的としています。同法はコンピューターに保管された情報だけでなく、写真を含む紙や画像の情報にも適用されます。

書面による情報は保育環境や自宅から持ち出すことのないように留意することが重要です。そのため、例えば保険証や診察券などは可能なかぎり子どもの自宅に置いておかなければなりません。子どものパーソナルデータや、日々の保育で観察したことを記述する保育日誌などの個人情報は、登録チャイルドマインダーの自宅または施設内で保管を行います。
子どもの写真については、保護者の同意書がない場合は、勝手に撮影してはいけません。
登録チャイルドマインダーの多くは、機密情報を保持するために、安全に施錠できる書庫やキャビネットを設けています。誰もが取り出せるような場所に乱雑に置いてあるといった状態は、絶対に避けるべきでしょう。

 

重要用語
観察 - 他人の行動を注視、検査、調査、吟味すること

 

コンピューターのファイルはパスワードで保護しておきましょう。そうすることによって情報の機密保持を徹底し、他人や子どもがアクセスできないようにすることができます。

 

NCMAの提言
施設関係者や訪問者が開くことのできない施錠可能なビジネス用の書庫を別途設置するといいでしょう。

 

帳票類やPCデータには細心の注意を払う一方で、他の家庭的保育者や保育者との通常の会話では安易に守秘義務に違反しがちです。
例えば自分の仕事、計画中の活動、または保育時の集団行動上の懸念事項等について話すとき、うっかり守秘義務に違反して、他の人が子どもやその家族を特定できるほどの十分な情報を与えてしまうことがあります。
他人と職業上のことについて話し始める前は、機密保持について常に十分に意識しなければなりません。

 

適切な実践のキーポイント
機密保持・守秘義務

  • 保護者との会話のなかで、別の保護者のことについて話してはならない。
  • 保育者自身の友人や家族との何気ない会話に注意する。
  • 課題やレポートを作成する際に、子どもやその家族を特定しないよう注意する。子どもや家族の実名は使用せず、イニシャルや仮名を使いましょう。
  • 他の専門家への対応を行う際には、事前に伝達する内容について保護者と話し合い、子どもに関する情報の共有について保護者から同意書をによる許可を得る。(子どもの安全確保に関する懸念の問題や原因である場合を除く。)
  • コンピューターをパスワードで保護する。
  • 保育する子どもに関する個人情報を保管できる、安全かつ施錠可能な戸棚か書庫を設置する。

 

守秘義務を遵守しなければならない理由と方法、および違反するおそれのある状況

保育者が保護者に伝える必要がある情報は機密情報であり、保護者が保育者に伝える情報も機密情報となります。そうした情報として以下のようなものが挙げられます。

  • 保育料、時間、住所、連絡先など契約に際しての詳細事項
  • 保育者自身の資格、経験やおよび研修に関する情報
  • お預かりする子どもの家庭的保育を始めた時からの情報
  • 保育者が緊急事態でとるべき行動について記したもの
  • おむつ交換や、トイレの使用、保護者や子どものニーズへの対応方法など、日々の活動記録
  • 投薬記録やお薬手帳、また薬剤情報提供書など、医療に関する情報
  • 保育日誌
  • 保護者の就業、職務に関する情報、および養育権の取り決めなど家族の詳細情報
  • 宗教的信条
  • 子どもの好き嫌い
  • 日常的な情報を交換する方法と時期

 

考察
情報を伝えるべきでないのに伝えそうになりがちな状況について考えましょう。

  • 「これはうわさ話ではないか」と自分自身に問いましょう。
  • 共有すべきでないことが分かっている情報に関して、そうした情報の共有を強要する人はいませんか?またはそうした特定の状況がありませんか。
  • 守秘義務に違反させようとする人に対して、しっかりと断ることができますか。
  • 他の保育者が機密情報を不適切に共有したとき、あなたはどのように対処しますか。

 

保護者は自分の子どもに最善のものを望み、そのために他の専門家の支援や手助けを受ける状況も考えられます。そうした状況において、ある程度の情報を共有する必要がある場合も考えられます。唯一の例外は安全確保に関わることで、情報を共有している間に子どもがより大きな危険にさらされるおそれがあるときです。

守秘義務違反が容認される状況は、以下の2点においてのみとなります

  • 情報の伝達について保護者から同意または許可を得た場合
  • 子どもの安全確保や医療上の緊急事態など、子どもの最善の利益のためにそうすることが不可欠である場合
ケーススタディ:容認される守秘義務
カーリーは言語療法を受けている子ども、ロイシンを保育する認定ナニーです。ロイシンの両親はどちらも頻繁に出張するため、彼女が保護者に代わって予約日や相談日に行き、ロイシンの治療について話し合うことを許可する同意書を言語療法士に渡していました。

  • 彼女はロイシンに関する情報をどのようにして保護者と共有することができますか。

登録チャイルドマインダーとして働くサディアは、保育する子どもの1人の腕や足にあざがあることに気づきました。彼女はその子どもを保護すべきではないかと心配し、児童相談所に連絡して彼女の懸念を報告しました。彼女はそうした行動を保護者には伝えませんでした。

  • サディアはなぜ保護者には話さなかったのでしょう。

 

他の専門家が子どもについて話し合ったり、情報を共有したりすることを希望するケースがあります。
例えば、学校やその他の就学前教育施設に子どもを迎えに行った際、教師が子どもの発育について保育者と話し合う必要があるかもしれません。
あるいは子どもに定期健診を受けさせるとき、訪問医が子どもについて保育者と話す必要があると思う時もあるでしょう。
こうした専門家との話し合いや情報の共有についても保護者から同意書を得ていない場合には守秘義務に抵触し、その旨を相手側に説明する必要があります。
上記のような事情を踏まえ、保育者がすべきことについて事前に保護者と話し合い、同意を得ておくことも大切です。

 

NCMAの提言
子どもの学習状況や発達状況を他の専門家と共有することについて、事前に保護者から許可を得ることはとても重要なことです。

 

本章の最初に保育業務従事者共通基礎技能および知識の1つは「情報の共有」であると述べました。
情報の制御と守秘義務に関する課題と法律を理解し、尊重することが重要なのです。

 

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