家庭的保育サービスの収支計画を作成する

収支計画の作成

 

登録チャイルドマインダーとして自営で事業を営むには、小規模企業の経理を理解する必要があります。財務的な課題には几帳面に、かつ専門職らしく対処することが重要です。
財務管理に決まった方法はなく、人によりそれぞれ異なります。ただし、保育業務のこの側面に首尾一貫した方法できちんと取り組まなければ、重大な代償を伴う間違いが生じかねません。大手銀行や金融機関の多くは開業に関するアドバイスを行っているので、こうしたところに相談するのがよいでしょう。

財務上の課題や問題は、登録チャイルドマインダーが抱える最も一般的なトラブルです。継続する意図を持って事業を始め、契約を締結する前にこうした問題につ議論しておくことが極めて重要です。
登録チャイルドマインダーの中にはインターネットバンキングへ移行したり、保護者のために自動引き落としを設定したりする人も多くみられます。そうすることで毎週、銀行にお金を預ける必要はなくなり、多額の小切手や現金を保育者の自宅で保管せずに済みます。

保育者の責任

保育者は自営業者として以下を行う責任を負う必要があります。

  • 英国歳入関税庁(HMRC)(かつての内国歳入庁(Inland Revenue))に自営業者として登録する。
  • 収入と支出を示す正確かつ最新の財務記録をつける。
  • 法定保険および第三者損害賠償責任保険に加入する。
  • 保育者自身、その住宅と家財および車を補償する保険に加入する。
  • 所得税と国民保険料を支払う。

 

・適切な損害賠償責任保険の重要性

すべての家庭的保育者は、幅広く保険に加入することが重要です。損害賠償責任保険は予期せぬ事態から守る保険で、その加入は福祉の要件の1つです。
損害賠償責任保険は事故を食い止めたり、回避したりすることはありませんが、保険は以下のような法的な賠償責任を担保しています。

  • 保育者の不注意または活動に起因した、保育する子どもを含むすべての者の偶発的な負傷または死亡
  • 保育する子どもに起因した、他人の財産に与える損害>

多くの保険会社が損害賠償責任保険を扱っていますが、その加入金額はそれぞれ大幅に異なっています。
全英チャイルドマインダー協会では大手保険会社が提供する家庭的保育者向けの損害賠償責任保険を手配しています。
また日本でもキャリアセンター会員向けに、家庭的保育に特化した損害賠償責任保険をご用意しています。

 

適切な実践のキーポイント
収支計画

  • チャイルドマインディング事業専用の銀行口座を別途開設する。
  • できれば週1回、少なくとも月に1回、口座をきちんと継続的に管理する。
  • 領収書はすべてしっかりと保管する。領収書はすべて番号をつけ、この番号を帳簿の項目の横に記載すると良いでしょう。
    領収書をすべて、1週間または1カ月ごとに綴じてファイルに保管するのもよいでしょう。

 

NCMAの提言
全英チャイルドマインダー協会のウェブサイトをチェックし、その他のさまざまな会員特典について調べましょう。
日本ではキャリアセンターサイト(本サイト)の活用法のページにてご確認いただけます。

 

住宅、家財および自動車の保険契約を吟味することは重要です。チャイルドマインダー世帯を補償する保険を扱っている保険会社は多くありません。
これについても全英チャイルドマインダー協会では特別な住宅および家財保険を提供しています。自動車保険については事業用の自動車保険への加入が望ましいです。
事業用の自動車保険にも「業務使用」「通勤・通学使用」「日常使用」などの項目に分かれているので、加入前に確認しましょう。

 

法定要件を満たすため、控除可能な費用を含めて正確な財務記録を維持する方法

全英チャイルドマインダー協会では現金出納帳と出席簿を作成していますが、これは収入と支出を週単位で記録するのに適しています。Excelなどのプログラムを使ってコンピューターで帳簿をつけることを好む保育実践者もいるかと思います。しかし、全英チャイルドマインダー協会の現金出納帳の形式が取引の記録に適していることは英国歳入関税庁に認められています。
また全英チャイルドマインダー協会は、在宅保育独自の費用についても英国歳入関税庁の承認を得ています。表2.3は、英国で週40時間以上業務を行う登録チャイルドマインダーに認められる数値です。表2.4は、控除可能なその他の一般的費用と在宅保育に固有の費用を示しています。
これらのリストがすべての項目を網羅しているわけではありませんが、英国歳入関税庁は費用が事業の目的上「完全に固有かつ必要」なものでないかぎり控除を認めない可能性があります。バギー、カーシート、幼児用椅子などの大型品目は事業の資産として扱われ、資本控除が適用されます。
つまり資産の取得原価は複数年にわたって控除可能な費用として処理されます。(英国歳入関税庁は、全英チャイルドマインダー協会の会員ではない在宅保育者に、全英チャイルドマインダー協会との間で取り決めたこうした控除を認めない場合があることは興味深い。)
この数年、登録チャイルドマインダーは英国歳入関税庁から、勤労税額控除(Working Tax Credit)の保育基準額を申請する家族に提供する保育内容の確認について協力を要請されています。こうした協力は現在では、他の認定保育者にも広がっています。

表2.3:英国で週40時間以上業務を行う登録チャイルドマインダーに認められる費用

費用 控除額(英国内)
光熱費 費用の33.3%
水道料金 費用の10%
地方税 費用の10%
損耗 総収入の10%
家賃 費用の10%
無料ミルク 5歳以下の子ども1人について1日当たり1 pintの3分の1を請求できる。

 

表2.4:英国におけるその他の一般的費用と保育者固有の控除可能な費用

他の事業と同様に控除可能なその他の費用(英国内) 請求可能な追加品目(英国内)
事務用品と印刷代 追加的な食品(朝食/昼食/夕食/間食を提供している場合)
電話代 おもちゃと書籍
自動車の費用 外出費用
保険料 安全装置
報酬 清掃/衛生
定期購読料 おむつ

 

登録チャイルドマインダーには、英国では住宅手当、地方税軽減、所得補助など収入に関連した手当を請求する際に、他の人にない特権が認められています。
これは「3分の2控除(two-thirds disregard)」と呼ばれており、手当の受給額を計算する際に、チャイルドマインディングによる総収入の3分の2は除外するという仕組みです。
食費、事務用品費、光熱費といった業務上の費用は考慮されません。その他の手当および税額控除については、受給額は純収入、すなわち合計収入(総収入)から業務に要した実際の費用を差し引いた金額を基準に算定します。
英国では通常、所得補助は週当たりの労働時間が16時間未満の人に適用されます。しかし特別な規定により、一部の登録チャイルドマインダーにはフルタイムで仕事をしている場合においても適用されるのです。
給付金と税額控除に関する詳細な情報は英国労働年金省(DWP)で確認することができます。全英チャイルドマインダー協会の会員はオンラインのファクトシートで詳細な情報を確認することができます。

 

適切な実践のキーポイント
給付金と税額控除
税の軽減、税額控除、その他の給付を受ける資格があるかどうか確認するために、給付を総合的に確認することも必要です。英国では就労支援アドバイザー(Into Work Adviser)または一人親世帯アドバイザー(Lone Parent Adviser)にその確認を行ってもらうことが可能です。いずれも以下が問い合わせの窓口となっています。

  • 居住地域のジョブセンター(JobCentre)またはジョブセンタープラス(JobCentre Plus)
  • 市民相談協会(Citizens Advice Bureau)
  • 福祉権サービス(Welfare Rights Service)

 

英国では登録チャイルドマインダーとして収入を得始めてから3カ月以内に居住する地域の税務署に自営業者として登録する必要があります。これは国民保険の掛金にも影響し、
登録を怠った場合には罰則の対象とります。
国民保険の保険料はさまざまで、支払額に応じて、疾病手当や出産手当など、特定の手当の受給資格に影響します。居住地域の税務署に助言と支援を求めるのがよいでしょう。

登録チャイルドマインダーの声
「事業の財務面を常にきちんと管理し続けることは極めて重要です。私は全英チャイルドマインダー協会の会員で、この協会は私の課税所得が実際にいくらか算出するのに非常に便利な刊行物を提供しています。また地元の英国歳入関税庁の問い合わせセンターも非常に役に立っています。」

小規模事業所に無料でアドバイスをしてくれる銀行や金融機関もあるので、地域の支店で尋ねてみるのもよいでしょう。
その際にこのサービスが無料であることや、後に費用の発生がないことを確認しましょう。

 

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