遊びが子どもの発達と学習を促進する

遊びはどのように子どもの発達と学習を促進するのか

 
年齢に関係なく、子どもは皆何らかの方法で遊びます。乳児は、分の指やつま先といった「玩具」で遊びます。専門家の中には、乳児の最初の玩具は母親のおっぱいだという人もいます。これは乳児が母親の肌の匂いに慣れ、乳首を見つけ、お乳を飲み、授乳中に満足を得るからです。
子どもが遊ぶ際には様々な振る舞いをします。遊びが騒々しく活動的になることもあれば、静かで物思いにふける場合もあります。子どもは自分がしていることを言葉で説明したり、どうやって遊び、次に何をするのかを話し合ったり、計画したりすることもあります。

子どもが遊びからできるだけ多くのことを得られるよう手助けするため、遊びがいかに価値あるものかを理解しなければならなりません。遊びは子どもの学習方法です。子どもに新しい技能を開拓、調査して、発達させ、既存の技能をマスターし向上させる機会を提供します。
すべての子どもに対して遊びの機会を計画し構成する方法を知り、こうした活動への関わり方、あるいは一歩下がって見守る方法を理解する必要があります。保育者として、保育するすべての子どもに対して、子どもが楽しむことが分かっている活動、子どもを刺激する活動、学習の役に立つ活動を提供するべきです。
あなたの日課に遊ぶ機会と時間を計画する必要があり、時には遊ぶものや場所も考えます。いつ子どもの遊びに関わるべきか、いつ一歩下がって子どもだけで遊ばせるのかを学ばなくてはなりません。

家庭的保育者の中には、遊びを通じて子どもの個別の学習や発達を計画し、支援する場合には多くの事柄を正式な方法で書き留めて、教師が学校でするのと同じように、子どもに「指導」しなければならないと考えている人がいますが、これは正しいことではありません。

プロの保育実践者として、チャイルドマインダーとナニーは多くの有益な方法で活動を計画し、子どもの学習を支援しています。経験を積んだ多くの実践者は、こうしたことをほぼ本能的に行っており、これに関しては自ら行ったことを必ずしもすべて認識しているとは限りません。
保育実践者は学校での正規の勉強への素晴らしいスタートを子どもに提供し、学校では達成できないような方法で子どもの成長や発達のあらゆる面を支援することもでき、またそうしていることが多いのです。これは保護者が自分の子どものための家庭的保育者を選択する際の多くの利点の1つといえます。

計画の実施はある種の指導または教育と関わってきます。プロの在宅保育者として、保育する子どもを常に「指導」することになります。子どもの学習、成長、発達をあらゆる方法で手助けすることになるのです。
子どもを「指導する」という意識的な決断をする場合、1日の中で一定の時間を取るということはおそらくないでしょうが、毎日の日課の中に子どもと遊ぶ時間を盛り込むことはできます。子どもを「指導する」ためにワークシートや特別な教育的おもちゃを提供する必要はありません。子どもに話しかけて一緒に遊び、自分で食事をしたり、自分のコートのボタンを留めたりするといった、以前はできなかったことができるようになる手助けをするのです。

保育サービスの一環としてあなたが行うすべてのことは、包括的な指導法です。指導法をリストアップする場合、以下のようなことを含めることができます。

  • すべての子どもは話すことや他のコミュニケーション形態を通じて学習するので、話をする。
  • 子どもは遊びや直接得られる体験を通じて学習するので、子どもが遊ぶ安全な環境と備品を提供する。
  • 子どもは身の回りの世界を探ることを通じて学習するので、幅広い包括的な活動と経験を提供する。
  • 子どもと一緒に遊び、導く。
  • 子どもの遊びに参加し、支援する。
考察
ドイツの教育者であるFriedrich Froebel(1782~1852)は、ドイツで幼稚園(保育園)を設立し、そこで遊びに関する自分の考えをテストすることができました。屋内外の遊びの価値を信じており、指遊びや多くの歌と詩を創作したと評価されています。Froebelの考えの多くは、遊びに関する現代的な考え方に今も影響を与えています。

 
遊びとは、つまり保育する子どもが可能なあらゆる方法で発達し学習するよう促すことです。遊びは自発的なものであり、計画や準備をほとんど、あるいはまったく必要としません。一方あなたは適切な設備を確実に手にできるように、一部の遊びの活動を事前に計画する必要があるかもしれません。
 

家庭内の日課や家財道具を活用する

発達を促すために高価な玩具や遊具を購入する必要はありません。家庭には多くの物があり、あなたが行っている日課は遊びを通じてあらゆる年齢の子どもが発達するのに役立ちます。子どもが遊ぶのに何を与えるにしても、安全で、衛生的で、いかなる方法においても子どもに悪影響を与えることがないものでなければならないことを忘れてはいけません。

表8.2の活動はすべて、家庭であなたがおそらく毎日行っていることでしょう。このリストは容易に拡大できるようになっており、主要なことのみリストに入れています。これらは子どもの発達にとって素晴らしい遊びの活動と機会でもあるのです。

表8.2:毎日の日課における遊びと学習の機会

日課の活動 年少の子どもに対する学習の機会 年長の子どもに対する学習の機会
料理 順序付け - 認知的
計算、計測、計量 - 認知的
様々な道具や用具の利用 - 身体的
新しい単語、質問 - 言語
健康な食事の意識 - 認知的
グループでの共有、交代、遊び - 個人的および社会的
楽しむ - 感情的
順序付け - 認知的
足し算、時間、計量、計測 - 認知的
科学、物の変化の仕方 - 認知的
より規模の大きい微細運動制御協調運動 - 身体的
語彙の発達 - 言語
健康な食事の理解 - 認知的
グループでの共有、交代、遊び - 社会的
楽しむ - 感情的
食事の準備 計算、整合、分類 - 認知的
色 - 認知的
感覚の発達
道具の利用 - 身体的
好き嫌い - 感情的
量の理解 - 認知的
他人のニーズ、食事、およびアレルギーの認識 - 社会的および認知的
道具の利用 - 身体的
個人的な好み - 個人的、感情的
テーブルセッティング 計算、整合、分類、パターン - 認知的
指示に従う、新しい単語 - 言語
自立心の発達 - 社会的および感情的
「家の中のルール」の理解 - 社会的および認知的
着替え 体の異なる部位の名前を覚える - 言語および認知的
微細運動能力の発達 - 身体的
自助能力 - 個人的、身体的、および社会的
選択や判断 - 感情的および社会的
自立心の発達 - 個人的、社会的および感情的
片付けの手伝い 計算、整合、分類、パターン - 認知的
「家の中のルール」の理解の発達 - 感情的および社会的
備品や玩具の手入れをすることの理解の発達 - 社会的
他人のニーズの認識 - 社会的および感情的
「家の中のルール」の理解 - 社会的および感情的
玩具、設備および備品の適切な手入れの仕方の理解 - 社会的
洗顔と手洗い 適切な衛生実践の理解の発達 - 個人的、身体的、社会的、および認知的
自助能力 - 個人的、身体的、および社会的
適切な衛生実践の理解と感染拡大防止 - 個人的、身体的、社会的、および認知的
買い物リストの作成 記号には意味があることの理解 - 言語および認知的
記憶力 - 認知的
異なる目的で書く - 言語
記憶力 - 認知的
他人の意見の評価
選択や判断 - 個人的、社会的および感情的
自立心の発達 - 社会的
買った物の収納 計算、分類、整合 - 認知的
異なる形や色の認識 - 認知的
指示に従う - 言語および認知的
食品の安全な保管の理解の発達 - 認知的および社会的
自立心の発達 - 個人的、社会的および感情的
包装や廃棄物の処分の仕方 - 認知的および社会的

 
表8.2の遊びの活動はすべて楽しいことであり、どの子どもも楽しめるものです。どの備品も特別であったり高価であったりする必要はありませんが、それでも遊びの活動なのです。この遊びの活動が、子どもがそこから学び、発達できる経験になるかどうかはあなた次第です。

考察
保育者の中には、衣類を洗濯機に入れる前に分類するよう促すことは非衛生的だと考える人もいますが、これは話し合う事柄ですし、また洗濯するものにもよります。子どもに家事を手伝わせることは、子どもを家事労働者にするようなものだと考える人がいるかもしれません。
他に賛否両論が起こりそうな日課の家事が考えられますか。

 

評価への課題

評価基準5.2

日常の家事や家財道具の利用を含め、家庭においてやりがいがあり楽しい学習環境を計画する。
【保育・教育顕彰評議会タスク7】

子どもと一緒にできる家事をいくつか考える。
洗濯物の分類や食事のテーブルセッティングといった、子どもと一緒にできる時間の短い活動をメモする。これは学習と遊びの理想的な機会である。

どの活動に事前の計画が必要か、またどれが自発的なものかを判断する。「偶然を装って故意に」赤い靴下を白い靴下の中に入れておいて(勿論洗う前に)、色別に洗濯物を分類するというゲームをしてもよい。(保護者や実践者の中には、子どもが汚れた洗濯物を分類するというアイデアを好まない人もいるかもしれないので、人形の洋服を分類する、あるいは洗濯後、乾いた衣類を分類した方がいいかもしれない。)

子どもはあなたのつまらないミスを指摘するのが大好きなので、子どもに色の認識を促すことだけでなく、こうしたことをするのは楽しいことであり、自信を持たせる役にも立つ。

あなたのポートフォリオに、こうした家庭内の出来事がどのように子どもの学習の一環となるのかを書いておく。以下の例のように、この情報を表の形式で示してもよい。

活動 教材 可能な学習
朝食 パン、トースト、バター、スプレッド、トースター、皿、ナイフ 自立心、自助能力、意思決定、身体技能(微細運動と協調運動)、言語 - 語彙
隠れ家造り 古いカーテン、シーツ、洗濯挟み 問題解決能力、創造性、想像力、ロールプレイ

 

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