虐待の兆候と症状

さまざまな形の虐待の兆候と症状

 
虐待の各形態には明らかな兆候があります。保育実践者は虐待の身体的な兆候がなくても、子どもが保護を必要としていると推測することがあります。例えば明らかな理由もないのに、内気になったり悩んだりするなど、子どもの行動から推測される場合などが当てはまります。虐待の身体的な兆候に気をつけるだけでなく、子どもの行動の変化に気を配ることも大切なことです。
あらゆる虐待のケースでは、兆候や症状は大まかに行動面と身体面の2つのカテゴリーに分けられます。
 

ネグレクトの兆候と症状

  • 行動面
    • 保護者に連絡を取るのが難しい、または面会の約束ができないことがよくある。
    • 子どもが弟や妹の面倒を見ていることや、その年齢の子どもには通常期待されないような責任を負っていることを話す。
    • 子どもが放っておかれていると話す。
    • 子どもが戸棚や他の子どもの弁当箱から食品を盗む。
  • 身体面
    • 通常、子どもの外見がだらしなく、世話をされていない様子が見られ、洗濯していない汚れた服装をしていることもある。
    • 子どもが体重不足に見える。
    • いつもおなかをすかせている。
    • 睡眠不足、または不規則な睡眠習慣により、疲れていることが多い。
    • 監視されていなかった、または放置されたことにより起きた可能性がある事故での外傷がたくさんある。
    • かぜ、せき、耳の痛みなど、軽い感染症や慢性の病気を多く抱え、その治療がされていない。

 

身体的虐待の兆候と症状

ほとんどの子どもは、人生のある時点で事故によるけがを経験します。子どもは日々の活動や遊びで普通にあばれたり転がったりする中で、転び、頭をぶつけ、あざ、すり傷、切り傷をつくります。これらはまさしく事故であり、共感したり支援したりはしても、必ずしも心配する必要はありません。

心配する必要があるのは、けがが頻繁で納得のいくまっとうな説明がない、あるいはけがをした身体の部位が、通常子どもがけがをするとは予想されないところ(例えば背中やおなかのあざ)である場合などです。

これについても、兆候は行動面と身体面とがあります。

  • 行動面
    • 以前は社交的だった子どもが、急に内気で静かになる。
    • 他の子どもに対する、またはロールプレイにおける攻撃的な遊びが多い。
    • チャイルドマインダーに攻撃的な反応をする。
    • どんな理由があっても子どもを着替えさせたり服を脱がせたりしないよう求めるメッセージを保護者から受け取る。
    • 子どもが楽に座っていられないか、身体を異常にこわばらせて座り、活発な遊びに参加したがらない。
    • 誰かが急な動きをすると、子どもが委縮する。
    • 転んでけがをしても、泣いたり苦痛を示したりしない。
  • 身体面
    • 説明のつかないあざ、切り傷、すり傷がある。
    • 見慣れない形のあざがある。
    • 頻繁に骨折する。
    • たばこのやけどなど、異常なやけどがある。
    • 噛み跡がある。

 
保護者は人生において、とてつもない重圧を感じる時期があり、乳児や幼児がさらなるストレスとなることがあります。そんなとき大人は、子どもや乳児を身体的に虐待する可能性があります。授乳が困難な乳児や、夜間絶え間なく泣く乳児は、特に昼間長く働いた後では、一部の保護者にとっては耐えられないレベルのストレスとなることがあるのです。

こうした大人は自分の行動の抑制が効かなくなることがあり、しばしば自分の人生の他の面もコントロールできていないと感じることもあります。彼らは自分の子どもを乱暴に揺さぶってしまうほど、抑制が効かなくなる可能性があります。
月齢の低い乳児を揺さぶると、体内に非常に大きな損傷をきたす可能性があります。例えば脳に与える損傷は、コンクリートの床に頭から落とすのと同じくらいとなるのです。この種の脳の損傷の症状には、次のようなものがあります。

  • 視覚の喪失
  • 難聴
  • ひきつけ
  • 無反応

保護者がストレスにさらされているとわかっている場合は、適切な組織やその他の専門家に手助けを求めるための支援とアドバイス(カウンセリングなど)を提供すべきです。地域の子育て支援センターへ案内してもよいでしょう。子どもや乳児が次のような兆候を示し始めた場合には、心配する必要があります。

  • 食事やミルクに興味を示さない。
  • 休息または睡眠をとることができない。
  • いつになく疲れており、身の回りの出来事に興味を示さない。
  • 筋緊張が弱い

これらの兆候は子どもの体調が良くないことを示す場合もあり、疾患や感染症の初期段階の可能性もあることに留意します。ただし揺さぶりなどの身体的虐待に関連する場合も考えられます。
 

性的虐待の兆候と症状

性的虐待の兆候や症状に気づくのは、非常に難しい場合があります。特に子どもにポルノを見せたり、ポルノに巻き込んだりするケースなど、目に見える痕跡がないこともあります。子どもの性的虐待は、身体的兆候よりも行動面の変化からの方が発見しやすいかもしれません。

  • 行動面
    • 性的な言葉を使用する。性的行動について、その年齢の子どもからは通常は連想されない知識がある。
    • 不安感を示す。
    • 信頼する大人にくっついて離れないと同時に、特定の大人と一緒にいることに気が進まない様子を見せる。
    • 年齢に対して未熟な行動、例えば身体を揺する、指をしゃぶる、おしゃぶりを求めるなど、自分をなだめる癖がある。
    • 想像遊びを用いて性的な行動を演じる。
    • 不適切なときに衣服を脱いだり、性器を露出したりする。
    • 性的な絵を描く。
  • 身体面
    • 特に性器の周辺部分に、事故によるものではないあざや引っかき傷などのけががある。
    • 血痕がある。
    • 膣から分泌物がある。
    • 排尿や排便が困難、または頻繁に「おもらし」をする。
    • 座ったり歩いたりするのが困難である。
    • 泌尿器および/または性器の感染症がたびたびある。
    • 排尿や排便が必要なときに苦痛や恐怖を示す。

 

感情的・心理的虐待の兆候と症状

感情的虐待では兆候や症状(特に身体的兆候)を認めるのが非常に難しいことがあります。この形の虐待を受けている子どもは、非常に傷つきやすく、自尊心が欠如し、あらゆる人にかまってもらいたがる傾向があります。関心を示してくれる人にはほぼどんな形であれ、その子どもは好意的な反応を示し信頼してしまうので、その信頼につけ込む心無い人もいます。感情的虐待を受けている子どもは、自分に対する評価および自尊心が非常に低く、自信がほとんどないことが多く見受けられます。

  • 行動面
    • わざと非協力的な態度をとる、迷惑をかける、うそをつく、または大人について回ってかまってもらいたがるなど、注意を引こうとする
    • かんしゃくなど、通常はそうした行動を取らない年齢で未熟な行動をとる。
    • 同年齢の子どもとの社会的スキルが乏しい。
  • 身体面
    年長の子どもでは、次の兆候が見られる場合がある。

    • 自尊心や自負心が非常に低いことによる、極端な食習慣およびダイエット
    • 関心を引くためにわざと自分を傷つける行為(自傷行為)

 

評価への課題

評価基準6.2

安全確保の状況において懸念を抱かせる可能性のある兆候、症状、指標および行動の概略を説明する。
【保育・教育顕彰評議会タスク8】

情報文書はさまざまな形式が可能ですが、小冊子と同様に誰を対象にしているかを慎重に考慮する必要があります。これはどんな言葉を使用するか、図や表を使うかどうか、情報をどこまで掲載するかなどに左右されます。示す必要があるのは概要のみであることに留意し、詳細情報や参照書籍、支援については情報源を掲載するとよいでしょう。

保育・教育顕彰評議会タスクに従わない場合でも、上記のような情報文書を作成するとよいでしょう。

 

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