保育者の役割と責任
保育を職業とする人はみな、力量の差はあれ子どものニーズと福祉を最優先する義務と責任を負っています。したがって子どもが保護を必要としていると疑われる場合は、それに対して何らかの対処をしなければならなりません。安全確保について、できることなら対処する必要のないことであってほしいと思うのではなく、子どもを守るための日々の習慣の一部にするべきです。
一部の家庭的保育者は、虐待が疑われる保護者を通報することは、保護者との信頼や関係を裏切るようなことになるため、非常に難しいと感じていますが、それは間違いです。ただし、子どもの虐待を疑われる可能性がある大人は保護者だけではないことを知っておく必要もあります。保育者には、保育の義務と疑わしい事例をすべて報告する法的責任があります。なぜなら子どもの幸福が最優先であるからです。
一般的に子どもに前述の兆候が多数見られたり、そのうちのいずれかが顕著だったりする場合、虐待の可能性が考えられます。また子どもは「ネグレクトと性的虐待」など、複数の形態の虐待の犠牲になっている可能性があることも覚えておく必要があります。
虐待の犠牲になっている可能性がある子どもは、非常に傷つきやすい傾向があり、彼らへの対応は常に注意が必要です。子どもから手がかりを得、子どもをそれ以上動揺させないようにしなければなりません。
子どもが虐待やいじめを受けるのはなぜか
これは正確な答えを得るのが難しい情緒的な質問です。虐待やいじめの理由は複雑で、十分に理解されていない可能性もあるからです。虐待は子どもの人生において単発的な出来事の場合もありますが、一方で一部の形態の虐待は長年続くこともあります。
虐待といじめはあらゆる場所で発生する可能性があります。例えばテキストメッセージによるいじめが増加していますが、いじめの加害者は遠く離れた場所にいることもあります。虐待といじめは誰からでも受ける可能性がありますが、ほとんどの場合、虐待やいじめは子どもが知っている人物が起こしています。
何らかの形態の虐待が疑われる場合、配慮と注意を怠らずに対応を進め、事実をよく確かめる必要があります。子どもに何があったのかを質問したり探ったりするのはよい方法とは言えません。しかし子どもが話し始めたら、優しく、細心の注意を払って話を続けるよう促し、その子どもの話を全神経を集中して聞いてあげる必要があります。
- 子どもから手がかりを得る。
- 子どもが保護を必要としていると疑われる場合、適切な実践として、その子どもとの会話をすべて書き留めておく。
- 兆候や症状があれば、すべてメモする。
- 事実をもとに、正確に。憶測はしない。例えば、子どもの目の周りにあざができているからといって、誰かになぐられたと決めつけない。食器棚のへりに頭をぶつけた可能性もある。
虐待は長期的な影響を与える可能性を秘めています。繰り返し虐待を受けた子どもは、深刻な精神的被害に苦しみ、その後の人生に深刻な影響を受けることがあります。子どもまたは青少年の時期に虐待を受けた多くの大人が、人間関係の形成に非常に苦労し、自分の子どもの子育てに問題を抱えるといった事例もあります。
いじめと嫌がらせはすべての人に起こり得ますが、年長の子どもの方が受ける危険性が高いことが明らかになっています。この形態の虐待は、長期にわたって続く可能性があります。1個人から行われることや、複数の集団から行われることもあり、その形態はさまざまとなっています。
重要用語 |
---|
嫌がらせ - 絶え間なく困らせる、邪魔をする、脅すなどして、ひどく苦しめること |
考察 |
---|
|
考察 |
---|
ジェフは8歳から12歳まで、母親のボーイフレンドから性的虐待を受けた過去があります。ジェフは18歳で父親となりましたが、子どもが4歳の時、虐待を始めました。あるときジェフのガールフレンドが虐待に気づき、警察に通報しました。裁判中にジェフの子ども時代の経験が明るみに出て、彼は矯正のためのカウンセリングを受けることとなりました。 このことでジェフが幼児を虐待したことが正当化されたり容認されたりするわけではありませんが、虐待が起きた理由がいくらか説明されます。 |