保育者が虐待の申し立てから身を守る方法
すべての保育実践者は、他人の子どもを保育することから、信頼と重大な責任を与えられる立場にあります。そのため子どもの虐待の申し立てや虐待の告発を受けやすい立場にあります。この点においてチャイルドマインダーおよびナニーは、その他の保育専門職と変わりはありません。しかし一人で働いており、同僚やその他の人々の支援が得られない可能性もあり、ある意味さらに弱い立場にあるとも考えられます。
従業員が数人いる組織で働く人には、通常は「内部告発」と呼ばれる、悪習に関する懸念を公表する手順が存在します。公益開示法(Public Interest Disclosure Act:1988)は、善意での主張であれば、職員が被害者にならないように保護するための法律ですが、家庭的保育者はこうした保護が受けられず、したがって告発を受けやすい立場にあります。そのために必ず自分で支援体制を整えておく必要があるのです。
常にすべてにおいて職業保育者らしく行動することとは別に、虚偽の告発から身を守るためにできることがあります。
適切な実践のキーポイント |
---|
虐待の申し立てから身を守る方法
|
- 虐待の疑いの報告が率直な、観察された証拠に基づくものであり、うわさや陰口に基づくものでないように、正確かつ事実に基づく書面の記録を保管することが重要です。
- これらの記録を常にきちんと保管し、機密を守り、適切な専門家にのみ開示することが大切です。
これまでにも子どもの保育実践者が虐待で告発されるケースが過去にありました。これは関係者全員にとって最もつらい時期、および経験となります。このようなことが自分の身に起きた場合は、落ち着いて専門家としての態度を崩さずにいなければなりません。その告発に関するすべての会話の記録を保管し、書いた手紙はすべてのコピーを保管します。
告発されたら、法的要件により調査が行われるので、法的助言を求めることが賢明です。英国では全英チャイルドマインダー協会などの組織が法的な支援および助言をメンバーに提供しており、また市民相談協会(CAB)から独立した助言を求めることもできます。
前述のように、子どもの虐待は感情に訴える話題です。虐待を受けたことのある子どものために働いている場合や、子どもが虐待されていると疑われる場合、さまざまな感情や気持ちを経験することになるでしょう。これには虐待の加害者に対する怒り、子どもに対して起きたことへのショック、無力感、何かがおかしいともっと早く気づいてあげられず、その子の役に立てなかったという気持ちなどがあります。これらの感情はすべてまったく正常なものです。また当然ながら、反応は人それぞれによって異なります。
すべての感情を自分で処理しようとする必要はないと覚えておくことが重要です。怒りや挫折を感じていない、あるいは失敗したという感覚を持っていないふりをしようとする必要はありません。最も専門家らしい行動は、自分の感情を認識し、別の大人の援助を求めることです。どんなときでも守秘義務を忘れないことが重要であるため、支援してくれる大人は慎重に選ぶ必要があります。
英国ではコミュニティーのチャイルドマインディングネットワークで働いているチャイルドマインダーは、すでに「虐待の恐れのある子どもの名簿」に載っていたり、保護命令を受けたりしている子どもの保育を依頼されることがあります。こうした場合、以下のようなさまざまな専門家に支援を依頼することができます。
- ソーシャルワーカー
- 一般医
- 巡回保健師
- 児童保護警察官
- ネットワークコーディネーター
英国では全英児童虐待防止協会(NSPCC)やKidscapeなどの組織が、多くの場合話を聞いてくれます。
評価への課題 |
評価基準6.4 |
---|---|
自身または第三者による危害や虐待の疑いがある、または嫌疑を申し立てられている場合、在宅保育環境において単独で業務を行う保育者が従う必要のある手順を説明する。 【保育・教育顕彰評議会タスク8】 危害や虐待が疑われる場合に従う必要がある一連の手順に、書面の証拠を含める必要があります。これには関連する電話番号および、適切な機関への連絡先の詳細が含まれます。さらに、自分に対して申し立てが行われた場合に、自分がしなければならない内容を理解していることを、はっきりと示す必要があります。これらの情報をすべて、適切な詳細さで、平易な言葉を用いて、はっきりと示すことが重要となります。専門用語(業界用語または技術用語)や略語の使用は避けましょう。 このタスクは、保育・教育顕彰評議会の学習プログラムに従う場合も、そうでない場合も適切です。 |