家庭的保育を始める前に

家庭的保育を始める前に

 

あなたがチャイルドマインダーとして家庭的保育事業を始める前に、まずは個人的観点とビジネス的観点から検討すべき点を以下に述べる。

個人的な問題

キャリアの変更、すなわち新たなキャリアを始めることは個人の人生における重大な問題である。
在宅保育者になると家族と家庭にさまざまな意味で影響が及ぶため、検討すべき課題が数多くある。

ケーススタディ:職業の認知度
フェイはきつい仕事に就いていたため、妊娠した時には産休の権利を最大限に使った。しかし、職場に復帰する時期になったとき、子どもと離れることが非常につらかったため、仕事を辞めてチャイルドマインダーの研修を受け直すことを決意した。彼女は登録し、順調に事業を立ち上げた。保育資格を取得し、キャリアの変更を十分に満喫した。

ところが、彼女は同僚に自分の仕事の話をすると、その仕事について否定的な意見が返ってくることがしばしばあり、保育の需要や複雑さを理解していない人が大勢いることを知り非常に悲しい思いをした。
「子どもが学校に通い始めたら仕事に復帰するの?」あるいは「1日中家にいるのだから、保護者会の運営をできるはずでしょう」といった発言は珍しくなく、彼女は自分があまり評価されていないと感じ始めた。

フェイは職業意識が極めて高く、先ごろ実施された英国教育水準局(Ofsted)の検査で「極めて優秀」と判定されたことを非常に喜んだ。さらに地元の新聞が彼女を取り上げた記事を掲載したことから、彼女は同僚の間で注目を集めるようになった。

彼女は資格を取得して、新たな動向やイニシアティブの最新情報を入手することによって、職業の認知度を向上させることができるかどうかはチャイルドマインダー次第であると強く信じている。
「私たちは子どもに対して最善を尽くす義務があると心から信じている。そしてそれが夕方や土曜日を犠牲にして研修を受けることならば、私は研修を受ける」と彼女は述べている。

  • あなたの仕事に対して否定的な意見を持つ人に対してどのような行動をとり、どのような話をしますか。
  • 家庭的保育者の職業の認知度を向上させるのに有効な方法は何だと思いますか。
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    重要用語
    Ofsted - 英国教育水準局(イングランド)、保育施設、学校および地方の教育機関の検査責任を有する政府機関

     

    • 誓約
    • 他人の子どもを保育することは、保育する場所が子どもの家であるか、保育者の自宅であるかを問わず、重大な誓約である。保護者は、子どもに継続性を約束する信頼できる保育について合意を得ることを必要としている。
      そこで自分自身にこう問う必要がある。

      「私は子どもとその家族に専門的で信頼できるサービスを提供すると約束できるか。」

      この職業に携わることを思いとどめる可能性のある要因は考えられるか。
       

    • 自宅以外の場所での生活
    • 公認のナニーになることを計画している場合、他人の家で暮らし、仕事をすることの意味を考えたか。それはかつて住んだことのある場所とは全く異なる農村地域かもしれないし、子どもを課外活動や学校へ車で送迎する必要があるかもしれない。その地域には友人がおらず、新たな社交の輪を築かなければならないこともありうる。
      そこで自分自身にこう問わなければならない。

      「私は新しい友人を作り、新しい社会生活を築くことについてどう思うか。」

    • 家庭への影響
    • 保育が自分の家庭に及ぼす影響を慎重に考える。自宅内の独立した場所を提供し、家族の居住の場から完全に切り離すことができない限り、事業は保育者の家庭生活に影響を及ぼす。どのような家も子どもによって傷むことは避けられないが、子どもが多ければ多いほど、傷みも激しくなる。家の中だけでなく、庭も同様である。安全性が何より重要であるため、池や温室の周りをフェンスで囲まなければならないかもしれないが、家族の他のメンバーにとってこれは容認できないことかもしれない。
      そこで自分自身にこう問わなければならない。

      「保育する子どもの安全を確保するために必然的に生じるであろう変化に私の家族はどのように対処するだろうか。」

    • 労働時間と家族生活
    • 仕事をする時間とそれが家族に与える影響について考えたか。自分自身の子どもがいる場合、放課後のクラブや課外活動など、他人の子どもに対する責任とかちあうおそれのある約束をすることがある。自分の子どものおもちゃや個人の所有物はどうするか。それらを保育する子どもの手の届かない場所に保管するか。もしそうするのであれば、どこに、どのような方法で保管するのか。自分の子どもがあなたの時間を要求したときはどうするのか。あなたの8歳の子どもは学校から帰宅したときに音読するのを聞いてもらえなかったり、頼んでも宿題を手伝ってもらえなかったりすると、どう思うだろうか。あなたを「共有」することをどう感じるだろうか。
      そこであなたの子どもにこう尋ねる。

      「家にもっとたくさん子どもがいたらどう思う?」

    • さまざまな年齢層
    • 保育を予定している年齢層についてはどうか。乳児から学齢期の年長の子どもまでさまざまな年齢層の子どもたちに巧みに対処する人もいる。一方、5歳未満の子どもを好む人もいれば、自分の子どもと同年齢の子どもを望む人もいる。これは個人が選択する問題である。決断する前に、自分の強みがどこにあり、どの年齢層を希望するのかを考える必要がある。自分が楽しめば、子どもも楽しい思いをするということは道理にかなっている。
      そこで自分自身にこう問わなければならない。

      「自分の強みは何か、子どもと一緒に本当にやりたいことは何か。」

    • 仕事のパターン
    • フルタイムで働くつもりか、パートタイムか、学期中のみか、交代制勤務に合わせたフレックスタイム制か。学校の休日に仕事をする場合は、さまざまな年齢層が混ざり、それが自分の子どもにも影響を及ぼすといったまた別の問題が生じる。学期中のみの保育に限ると収入に影響する。
      そこで自分自身にこう問わなければならない。

      「この事業を金銭的に報われるものにするには、理想としてどの程度の収入が必要か。」

      在宅保育者は、さまざまな点で孤独で孤立した仕事になる可能性がある(他の大人との接触する機会の多い仕事から転職した場合は特にそうである)。
      確かに自分自身がボスであり、柔軟に仕事をすることができるが、他の大人と接触する機会は限られる可能性がある。
      極力積極的に他のチャイルドマインダーを探すか、「ちょっと立ち寄る社交」グループに参加しなければならない。
      他の誰かと一緒に仕事をすると決めることもできる。チャイルドマインダーは助手か学生の手伝いを雇ったり、他の登録チャイルドマインダーと一緒に仕事をしたりする場合がある。自分のパートナーや母や娘といった年長の子どもと一緒に仕事をするチャイルドマインダーもいる。
      こうした組み合わせは非常にうまくいくこともあるが、仕事の場での意見の対立が私生活にまで影響することのないよう注意しなければならない。ナニーを雇う家族に別のスタッフがいる場合もある。
      そこで自分自身にこう問わなければならない。

      「自営で仕事をすることはどのような意味を持つのか。」

    ケーススタディ:新しいアシスタント
    リンディは登録チャイルドマインダーの仕事を始めて数年になるが、地元で極めて評判がよい。
    2~3年前に地元の大学の保育課程で学ぶ学生、アレックスを週2日雇用してほしいと頼まれた。彼女はこれを承諾したが、これが両者にとって極めて有益な経験となった。

    アレックスが学業を終えた時期は、ちょうどリンディが事業の拡大を決意した時期と重なった。常に登録した定員一杯まで子どもを引き受けていたため、彼女は保育を希望する家族を断っていた。
    彼女は引き受ける子どもの数を増やす前に、一緒に仕事ができるかどうか確かめるため、まず試用期間としてアレックスを採用した。
    二人は仕事上の関係をうまく保てることが明らかになったため、事業を拡大した。

  • あなたは一人で仕事をしたいですか、それとも、他の人と一緒に仕事をしたいですか。
  • あなたは非常に社交的で、似た考えを持つ人を積極的に探し求めますか。
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    ビジネス上の問題

    登録チャイルドマインダーは優れたビジネスのスキルを備えておく必要がある。以下を几帳面に行う必要がある。

  • 帳簿をつけて、予算内に収める。
  • 子どもの最新状況、計画および居住する場所に応じて自治体からの要件を記録する。
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    在宅保育を始める際は、資本を回収し始める前に登録費、保険料、備品、改装費用など、ある程度の出費が必要になるため、それを支払う財政的余裕があることを確認しておかなければならない。開業助成金を受給できる地域もあるが、居住する地域の地方自治体に確認する必要がある。
    自分自身にこう問わなければならない。

    「私には簿記などのビジネススキルがどの程度あるのか、手助けが必要か。」

    どのような事業も始める際は何らかの形態の市場調査を行い、そのサービスに対する需要が実際にあるかを確認する必要がある。
    在宅で事業を行うことは良いアイデアかもしれないが、同じ地域に他にも保育施設がある場合は、その事業が実行可能であるかを確認する必要がある。
    以下の質問について自分自身に問うこと。

    • 保護者はどのようなタイプの保育を必要とし、要求しているか。
    • 保護者はどのような手段で自宅に来るか。自宅まで便利なバス路線はあるか。適切で安全な駐車場はあるか。
    • 自宅は駅から徒歩圏内にあるか。
    • 自宅は学校の近くか。(近くであれば始業前や放課後の保育および送迎、学校の休日保育が可能である)
    • 同じ地域に他に登録チャイルドマインダーはいるか。
    • そこは定員一杯か、空きがあるか。そこに多数の問い合わせがあるかを尋ねる。保育料についても尋ねる。

     
    ※他のチャイルドマインダーの保育料よりも低い料金を提示することは、その時は良い案と思えるかもしれませんが、その料金は現実的でしょうか。
    またそのようなやり方で専門的で質の高いサービスを提供することはできますか。
     
    近隣に民間の託児所や子育て支援センターなど、他に保育施設があるか。そうした施設は家庭的保育者とは異なる保育を提供し、自分の子どもをどの施設で保育してもらうかは保護者が選択することが多い。
    またそうした施設に問い合わせ、保育料(有料の場合)と定員一杯か、空きがあるかを尋ねるべきである。競合相手に関する情報を収集しなければならない。
    そこで自分自身にこう問わなければならない。

    「自分は同じ地域の他の施設とは異なるサービスを提供できるか。」

    独自のセールスポイント(USP)の詳細については以下を参照すること。
    住宅やビジネスパーク、あるいは新会社の設立など、自分の住む地域の新しい動向は新たに開業する在宅保育者やナニーにとって有利に作用する可能性がある。
    そこで自分自身にこう問わなければならない。

    「近隣の会社の人事部門に接触して、私の保育事業を売り込むべきだろうか。」

    確認
    自分の住む地域の自治体に連絡しましょう。自治体はその地域にチャイルドマインディングサービスのニーズがあるかどうか教えてくれるはずです。
    イングランドとウェールズの地方自治体の多くには、保育に関する情報を保護者や保育者に提供する業務を担当する部署が設置されています。この部署は家庭情報サービス(FIS)と呼ばれ、保育者の氏名や場所、連絡先電話番号、空き状況、事業の特徴など詳細事項を登録することができます。
    また日本の自治体でも子ども支援課や子育て支援課といった、保育に関する情報を保護者や保育者に提供する業務を担当する部署が設置されており、開業の届け出や指導監督なども、この部署でおこなっています。

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